求人広告で魅力をどう発信するか(前編)
- 斉藤永幸
- 11月5日
- 読了時間: 5分
更新日:11月24日

自社の魅力をどう伝えていけばいいのか
多くの場合、求人広告を作る際、考えなければならないものは大きく2つ。
一つはこれまで述べてきたような、いわゆる募集要項を決めていくことです。
給与や待遇・福利厚生などはすでに予算などが決まっている場合、自動的に算出されるので迷うことも少ないと思います。
問題となるのはもう一つ、自社のPRです。
求人広告のPRとは、自社の魅力を求職者に伝え、応募を促すものです。
自社の魅力をどう発信するか、そこに求人の成功・失敗がかかっているといっても過言ではありません。
しかし会計事務所の場合、この魅力の発信がけっこう難しいのです。
大手のWEB求人広告では、制作スタッフや撮影スタッフがいるので、そうした専門家に任せればいい、と思うかもしれません。
しかし、まかせっきりにできない事情があります。
それは大手求人広告の制作スタッフやライターは、税務会計事務所についての知識が非常に乏しいのです。
そもそも税務会計事務所は、経営や経理に携わることがなければ、ほとんど縁がありません。
そのためどんな人たちが、どんな働き方をしているのか、といった基礎知識がないのです。
そのため漠然と「経理の延長戦のような仕事なんだろうな~」くらいに考えている人も多いのです。
そもそも税理士と会計士の役割もわかっていない人も多く、そうした中どうやって仕事の魅力を伝える原稿を作ってもらえばいいのか、が難しいのです。
もちろん専門求人サイトでは、しっかりと知識や経験を持った制作・ライターが在籍していますが、それでもレベルには上下があります。
そのため自社の魅力を発信する際、まかせっきりにするのではなく、ある程度自分たちでコントロールできるようになっていないと、後で「こんなはずじゃなかった」といった事態になりかねません。
では求人広告で自社の魅力を伝えるには、どうしたらいいのでしょうか。
まずは自社の魅力を棚卸する
私が取材などで訪問した税理士事務所の中でも、どうやって魅力をPRすればいいのかまったくわからない、といった声も聞かれます。
「そもそもうちは特徴もないし、サービスも他と大して変わらないから…」。
そう話す所長もいます。
確かに、何かの業務に特化しているや、給料が際立って高い、他にない制度などを採用している、などいわゆる『特徴』があれば、アピールするのは簡単です。
しかし中小の税理士事務所で、そうした『特徴』を出すのは一見難しいと思えるかもしれません。
しかし本当にそうでしょうか?
そもそも税理士事務所としてお客様から依頼を受け、顧問契約などで経営を成り立たせている以上、魅力のない事務所はない、といえます。
たとえ仕事内容や業務内容などで特徴がなかったとしても、お客様があなたの事務所を選んだ理由が何かしらあるはずです。
それが価格なのか、利便性なのか、所長と気が合うからなのか、親身な対応をしているからなのか。
まずはそれを突き詰めていくことが、自社の魅力を見つける第一歩です。
それが『魅力の棚卸』です。
これを抜き出し、できれば紙やPC上にまとめてみましょう。
見える形で判別できるようになると、徐々に自分たちの事務所がどういう存在なのかがわかってきます。
まずはあまり悩まず、思いついたものはなんでも抜き出していくことが重要です。
それを後から整理し、どこに焦点を当てて求人広告に落とし込んでいくのかを決めていきます。
所長・代表の考える魅力と求職者にとっての魅力は違う
これを行う際、ぜひ力を貸してもらいたいのが、事務所で働くスタッフです。
その理由は、所長や代表だけで考えると、求職者にとっての魅力とずれてしまうからです。
ある税理士事務所で求人広告を作成した際、こんな話になりました。
「うちのお客様は零細企業がほとんどで、そこは魅力にならないな」というのです。
しかし、スタッフとしてはたらくAさんに話を聞くと、それがひっくり返りました。
その結果、以下のような文章になったのです。
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当事務所のお客様は、町の商店街でお店を経営している人が多いんです。
買い物などでよく通る道で顔を合わせる、そんな方たちの相談に乗るのが私の仕事。
税金の悩みや経理の悩みだけでなく、時には店主が腰を痛めた、嫁に行った娘が…、みたいな話をすることも多いですね。
そんな地域で実際に暮らし、生活をしている人を支えている、そんな仕事が好きなんです。
それを所長も応援してくれて、お客様との話で時間がかかりすぎたときも、そっと仲間がフォローしてくれる。
そして「あのお店、売り上げ上がってるね!」と言って一緒に喜べる。
そんな仲間、そんな事務所だからこそ、ここでの仕事にやりがいを感じることができるんですよ。
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条件だけ見たら、小規模なお客様に対する地味な仕事に見えるかもしれません。
しかし働いているスタッフからしたら、それこそがその事務所で働く『魅力』となっているのです。
この感覚は、求職者に非常に近く、その言葉は強い説得力を持っています。
今の時代、良い転職先があればすぐに辞めてしまう人も多いでしょう。
そんな中、あなたの事務所で働いているスタッフは、何かしらの魅力を感じて在籍しているのです。
そもそも数ある税務会計事務所の中から、あなたの事務所に入社したのはなぜなのか。
その理由を聞いてみるのです。
(後編に続く)
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