求人広告と人材紹介はどちらが得?
- 斉藤永幸
- 11月6日
- 読了時間: 7分
更新日:11月24日

料金だけ見ると高いように思えるが
近年、税務会計業界で人材獲得の大きな手段となっているのが「人材紹介」です。
これをお読みの方でも、人手が不足したらまず人材紹介会社のエージェントに連絡をする、という人もいるのではないでしょうか?
一方で、募集は求人広告だけ、という事務所もあります。
この求人広告と人材採用、実際はどちらがお得なのでしょうか?
まず料金を比較してみましょう。
求人広告は、税務会計業界の専門的なサイトだと、20~30万円程度かかります。
2~3か月程度掲載すると、50万円前後はかかりますね。
大手求人サイトだとピンキリで、一番高額なプランだと1回の掲載で100万円以上というものもありますが、税理士事務所などが利用するのは一般的ではないでしょう。
だいたい高くて30~40万円程度、安いものだと20万円程度のものを利用する場合が多いようです。
もっと安い掲載プランや、小規模な求人サイトなどでしたら、10万円程度のものもありますが、こちらは当然効果などは落ちます。
それに対し、人材紹介はどれくらい費用が掛かるのでしょうか。
一般的な人材紹介会社の費用は、年収の35~40%と言われています。
ちょっとリーズナブルなところで25~30%程度のところもあるようですが、これは年収ベースからの算出なので、費用はけっこうな金額になります。
例えばある程度お客様を任せることができるスタッフを450万円で採用した場合、30%でしたら135万円、40%でしたら180万円になります。
単純比較では、人材紹介のほうがかなり割高なように思えます。
しかし人材紹介にはいくつもの利用するメリットがあります。
人材紹介のメリットとは
まずは手間などが広告の出稿に比べると非常にかからない。
事務所の情報をまとめ、あとは紹介を受けるのを待つだけ、というお手軽さです。
もちろん人材紹介会社が求職者に提示する求人票などを作る手間はあります。
しかし広告は広く目に触れる状態になるため、原稿作成の取材や文章のチェック、さらに出来上がったものをチェックなど何重にもチェックがあります。
また、人材紹介でしたら、所長や代表、人事担当者が実際に面接などを行う前に、紹介会社のエージェントが面談などを行っています。
いわば一次面接を通過した状態で紹介を受けることができるのです。
続いてのメリットとしては、ミスマッチが少ないことです。
求人広告では業務に関係ない要素は書いてはいけない、というルールがあります。
つまり単純な「明るい人」や「話し上手な人」などを直接原稿で募集することができないのです。
そのため「明るくお客様に対応できる人」や「お客様と円滑に話を進めることを得意な人」といった<仕事内容>にからめた広告内容になります。
しかし人材紹介でしたら、事務所にはこんな人が合う、というイメージをそのままエージェントに伝えることができます。
エージェントはそれを面談などで踏まえて、その中で合った人材を紹介してくれます。
こうしたスキルは、求人広告だけに携わっていると、なかなか身につかないものです。
なぜなら人材紹介は、半年以内など定められた短期間で退職した場合、いくらか返金で戻ってくる契約になっている場合も多いです。
そのためエージェントとしても事務所に合わず短期間で辞められたら困ります。
その結果、性格などの人物面でのミスマッチにはシビアに判断することになります。
さらに人材紹介では、ある程度ピンポイントの採用が狙えることです。
広告では、本当はお客様を25件程度任せられる人材が欲しいんだけど、そこだけに限定すると応募が少なくなるので、もうちょっと幅を広げた募集を行う、ということもよくあります。
どの程度幅を広げるかは相談になりますが、原稿では15件~30件程度、といった表現になることが多いですね。
そのため狙ったターゲット以外の応募に対応する手間がかかります。
また、他に応募がないから15件程度しか任せられない人に内定を出したらすぐ後に25件任せられるスキルを持った人からの応募があって…、みたいなことも出てきます。
しかし人材紹介では、要望に対し優先度をつけ、それに該当する人を順番に紹介してくれるので、手間やトラブルが起きにくいのです。
そして忘れてはならないメリットとして、人材紹介の多くが『成功報酬制』である、ということです。
求人広告では、その募集で人を採用できた・できないに関わらず、広告出稿時に料金がかかります(一部成功報酬型の求人広告もありますが)。
しかし人材紹介は入社後の年収に対する%で報酬が決まるので、入社が決まるまで料金が発生しません。
これは大きなメリットです。
採用が難しい人材は、求人市場にいつ出てくるかわかりません。
例えば国際税務に携わっていた人の中でもヨーロッパに精通している人が欲しい、といった場合や、経験豊富な税理士・公認会計士などの有資格者の募集などもそうですね。
この場合、求職者が市場にいつ現れるかわかりません。
それを狙って広告を出すのは非常に難しいのです。
そのため求人広告でそうした人材を募集するには、長期にわたって広告を出し続けなければいけません。
必然的に掲載料は高くなり、採用コストは増大します。
しかし人材紹介はどんなに長期になっても、採用された瞬間に料金が発生するだけです。
そのためいつ採用できるかわからない、といった場合はかえって人材紹介のほうがコストパフォーマンスが良くなるのです。
買い手市場での人材紹介
上記のように様々なメリットのある人材紹介ですが、利用には注意も必要です。
人材紹介はどうしても採用コストが高くなりがちなので、安易に利用すると事務所の利益を大きく圧迫しかねません。
そのためしっかりと計画的に活用することが肝心です。
特に、広告で採用しやすいターゲットを人材紹介で、というのは非常にもったいないでしょう。
また、利用前に認識しておきたいのが、近年求人市場は買い手市場の傾向が非常に強い、ということです。
実は人材紹介は、売り手市場ほど上記のような様々なメリットの効果が強くなります。
逆に、買い手市場だと効果の低くなることが多いですね。
多くの登録された求職者の中からピッタリの人材を紹介会社が紹介してくれる。
これが人材紹介の最大の特徴です。
だからこそミスマッチも少なく、狙ったターゲットを採用することができるのです。
しかし買い手市場の場合、登録された求職者より紹介を申し込んだ事務所の方が割合的に多くなります。
その結果、ピッタリな人材より紹介できる人は紹介する、といった方針の紹介会社もあります。
また、取引実績の多い事務所の方が、いわゆる「良いお客様」なので、優先されがちです。
数年に一度しか取引のない事務所だと、どうしても良い求職者は他にとられてしまいがちです。
さらに担当のエージェントが社内で力がないと、同じく良い求職者がほかのエージェントにとられなかなか紹介につながらない、ということも。
実際に紹介会社に申し込んだけど、数か月たってもほとんど連絡がない、といった声を聞くことがあります。
しかし、このような買い手市場の状況であっても、人材紹介は非常に使い勝手の良い求人ルートです。
特に、小規模な事務所では所長がプレイングマネージャーで、お客様を見つつ社内を統率し、営業で新規のお客様を獲得しなければいけません。
それに加えて採用まで、となると負荷が非常に高くなります。
(そうした部分の軽減をお手伝いするのも自分の仕事ではありますが…)
その点、人材紹介はピンポイントで人を紹介してくれるので、採用にかかる手間が最小限になります。
コストは高くなりますが、手間とリスクは低い。
それが人材紹介なのです。
うまく人材紹介を活用できていない、人材募集の手間を減らしたい、そんなお悩みにも対応しています。
興味がございましたら、こちらよりお気軽にお問い合わせください。
関連記事



コメント