求人広告で魅力をどう発信するか(後編)
- 斉藤永幸
- 11月5日
- 読了時間: 6分
更新日:11月24日

分割して考えよう
先日掲載したブログで、求人広告で伝える魅力についてお話ししました(前編はこちら)。
自分たちの事務所のどこに魅力があるのか、それを考えることで求人における自社の強みなどが少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
ではその特徴を、具体的にどうやって伝えていけばいいのでしょうか。
この後編ではそれについて考えてみたいと思います。
求人広告のPRスペースで伝えなければならない内容は大きく分けて2つ。
「自社の紹介」と「求職者への引き」です。
求人広告の大部分はこの2つの要素で成り立っています。
自社の紹介はそのものずばり、「うちはこんな事務所です」というのが伝わるものでなければなりません。
これもまた、突き詰めると非常に難しいのですが、これもまた段階を踏んで考えていきましょう。
オーソドックスな形としては「過去」「現在」「未来」に分割できます。
・過去
過去は比較的簡単です。
いつ開業したのか、どんな目標をもって開業されたのか、どこで開業したのか、などの開業に関する経緯などからスタートします。
もし所長・代表の経歴に特徴があれば、開業前の略歴なども入れ込みたいですね。
また、これまでどんなお客様に支えられてきたのか、などのこれまでの経緯などもわかるとなお良いでしょう。
・現在
これは今、事務所が置かれている状況を述べる部分です。
どういったお客様がいるのか、業界・業種は、規模は、エリアはどうなのか。
またお客様と接するときにどういった理念をもって臨んでいるのか。
入社後携わる業務はどういう流れになるのか。
事務所はどんな体制になっているのか。
働いている人はどんな属性の人が多くて、どんな雰囲気なのか。
教育体制は、残業などの労務管理は、などこの「現在」の部分が一番多くなると思います。
そのうえで、事務所の課題となるものも合わせて載せておきたいですね。
これは次の「未来」に話をつなげる役目です。
・未来
ここは事務所がどういった方向性を持っているのか、を伝える部分です。
現在のところで課題を述べた場合、この未来がより具体的になります。
つまり、今はこんな課題がある、そしてこの募集でどんな問題が解決でき、そして将来はこういう事務所にしていく、となります。
この部分は荒唐無稽なものでなければ、未来志向で夢を語ってもいいでしょう。
「今後は基本的な税務だけでなく、お客様のDX支援などにも力を入れていきたい」でもいいですし、「10年後には100名規模の税理士法人を目指しています」でもいいでしょう。
事務所の未来を語るのですから、明るい印象で事務所の紹介を締めたいところです。
こうして「過去」「現在」「未来」と段階を述べることで、事務所の姿が明確になり、求職者に伝わるのです。
ここで整理したものを振り分け、さらに次の『求職者への引き』となるものを考えていきます。
求職者への引きはより具体的に
この『求職者への引き』は、事務所の現状などの中から、より求職者にアピールしたい部分や魅力として感じてもらいたい部分をピックアップすることになります。
ここで重要となってくるのが、「より具体的に」です。
よく求人広告にあるのが、
「和気あいあいとした事務所です」
「元気で活気のある職場!」
「みんなが暖かくあなたを歓迎しますよ」
などの文言です。
これは一見、良さそうなワードですが、具体的なものは何も伝わっていませんし、逆に求職者にとっては怪しげな求人ワードとして警戒されてしまうようなコピーです。
求人の状況が買い手市場だった時、ブラック企業という言葉がはやりました。
ブラック企業の特徴が、こうした曖昧な言葉や、イメージ先行の言葉などを使って求人を多用したのです。
「和気あいあいとした職場」ということをアピールしたいのであれば、「業務時間中でも気軽に相談でき、冗談を言い合い笑い合うことも多い職場ですよ」などのように、より具体的なエピソードを交えて伝えることが重要です。
ふわっとした文言はアピールにはならず、より具体性を持った言葉で伝えることが求められるのです。
そのため単に「残業の少ない職場です」というだけでなく「残業は月平均10時間以下」などとするほうが有効です。
同様に「働きをしっかり評価してグーンと昇給」などより「給与規定が整っているので、あなたの働きがしっかり評価され給与に反映されます」などとしたほうが求職者には安心感があります。
他にも、
・こんな仕事に携わることができ、こんなキャリアが積める。
・税理士資格を応援するこんな制度がある
・有休を自由に取得でき、有休消化を推奨している
・研修が充実し、こんな勉強をしている人もいる
・年齢構成のバランスが良く、ベテランから気軽にアドバイスをもらえる
など事務所の事情に合わせて、より具体性のある『求職者への引き』を見つけていきましょう。
これは求人広告における『売り』になります。
中心となる『売り』と、その他アピールできることを2~3つあらかじめ用意しておくと良いでしょう。
終わりに~求人広告の作成は難しい~
ここまでざっと求人広告を掲載する際に注意するポイントやアピールの方法、考え方などを述べてきました。
しかしそれでも伝えきれたのはごく一部です。
それぞれどのように求職者にアピールするか、などはちょっとしたコツやテクニックが必要になってきます。
それは先に述べたように、所長や代表が考える『求職者に伝えたいこと』と、求職者が考える『魅力となる部分』が異なっているからです。
事務所としては、ここに魅力を感じて入社してもらいたい、というところがあるかもしれません。
しかし求職者は別の部分を重視して、転職する事務所を決めている、ということも多いのです。
これを一から解説していくと、厚目の本一冊以上になってしまいます。
そのため今回はここでいったん区切りとしますが、もっと詳しい話を聞きたい、うちで募集をする場合どうすればいいのか具体的に話をしたい、などあればお気軽にこちらよりお問い合わせください。
関連記事



コメント