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税理士事務所のブランディング戦略

更新日:12月17日

差別化、と書かれたメモとPCの写真
単に税務の専門家であれば選ばれていた、という時代は終わりつつあります

税理士事務所もブランディングが必要!?


もともと税務会計業界は、非常に安定した業界です。地域経済の浮き沈みはあるにしても、それを支える基盤が税理士事務所であったため、そこまで競争をしなくても経営は成り立っていました。そのため全国組織の税理士法人や、有名税理士事務所以外はブランディングを行って、他の事務所と差別化を行う必要もほとんどなかったのです。

しかし近年では、かつてないほど変化と競争の時代を迎えています。日本全体が高齢化しつつあり、後継者不足やそもそも人材不足から廃業する企業mの笛、顧問滝は減少。AI などのIT技術の進化により専門的な知識がなくてもある程度自動化されてきています。また、経理代行業者などの異業種からの参入なども増え、広告解禁によりネットを使って集客する事務所が増えた結果、地方を基盤にしているような事務所であっても、否応もなく競争に巻き込まれているのです。

そのため、単に資格を持った「税務の専門家」である、というだけでは、お客様から選ばれなくなりつつあるのです。


さらに税務会計業界を志す人は減り、業界全体の人口も減ってきています。そのため採用は一層厳しくなり、たとえお客様がいたとしても事務所のサービスを支えるスタッフがいないため、依頼を断るしかなかった。そんな状況もあちこちで見られるようになりました。

つまり、今後も継続的に事務所を運営していくには、「選ばれる税理士事務所」でなければならないのです。今はまさに、税理士事務所のブランディングを考える時期に来ているといってよいでしょう。


では、そもそもこのブランディングとはどういったものなのでしょうか?

定義を調べてみるとブランディングとは、企業や商品・サービスを「独自のもの」として顧客に認識させ、他社との差別化を図り、信頼や共感を通じて価値を高めるマーケティング戦略です。これにより、価格競争を避け、顧客ロイヤルティを向上させることが可能になります」とあります。


しかし、多くの税理士事務所はこのブランドが確立されていません。ほとんどの事務所のサービスは同じで、お客様からデータを預かり決算を組み申告書を作成する。こうした画一的なサービスが日本全国で行われているのです。

だからこそ自分たちの事務所のブランドの確立をすることができれば、一気に優位に立つことができるのです。



ブランディングを行うには


ブランディングというと、ロゴを作ったり、HPを新しくする、などを思い浮かべる人もいるかもしれません。時にそれは独りよがりなものになってしまいます。

ブランディングの初期段階で重要なのは、まずお客様が何を求めているか、を知ることです。これは地域や対象となるお客様のセグメントによって少々変わってきます。信頼性にあるのか、専門性にあるのか、親しみやすさにあるのか、それとも相談できアドバイスが的確であることにあるのか……。事務所によってさまざまでしょう。

ブランドを確立するためには、まずここの部分から意識する必要があります。


次に考えるのは「どこを差別化するか」です。

事務所の特徴は様々だと思います。何をアピールすることで、どんな効果を狙っていくか、を考えていかなければなりません。そのためにもまずは、差別化のポイントを整理してみましょう。


・専門分野の強み(相続税、法人税、スタートアップ支援など)

・顧客体験の向上(相談のしやすさ、スピード感、デジタル対応など)

・所内文化の発信(親しみやすさ、誠実さ、働きやすさ、人柄・雰囲気)


これらを元に、ブランドを組み立てていきます。


お客様が選ぶ理由と差別化された特徴が組み合わされ、ブランドになる、というイラスト


最後に、こうして出来上がったイメージを、どう伝えていくかです。

ここからが一般的にイメージするブランディング戦略になりますね。ロゴやサイトのデザインをどうするのか、どんなイラストや写真を使って、どんなイメージを伝えていくのか、などです。他にも最近ではブログやSNS、ニュースレターなどを使ったブランド戦略もあります。無料相談会やセミナーなどを開催し、ブランド体験として活用することもできますね。

こうした手法については、広告的な要素が強くなるので、あげていくと切りがありませんので省略しますが、自分たちに合ったブランド戦略を組み立てていきましょう。

(自分たちの事務所のブランド戦略をどう作っていけばいいのかわからない、という方はこちらから無料相談なども受け付けているのでご利用ください)


ただ、いくつかの成功例・失敗例があるので紹介しておきましょう。



ブランディングの成功事例


事例1:専門特化+デジタル発信で顧客増加


背景:中規模事務所、相続に強みがあるが競合に埋もれていた

施策

企業のお客様を意識しつつ、相続も、と事務所の特徴が打ち出せていなかったが、「相続専門事務所」を明確に打ち出した

ブログで最新の相続税改正や事例解説を定期発信

お客様に接する女性の相続専門スタッフを写真入りで紹介し、遺族である依頼人に安心感をもってもらえるようにした


成果:HPの検索で相談件数が増加。問い合わせの質も向上し、相続税に強い安心の事務所、というイメージが定着した



事例2:ビジュアルブランディングで親しみやすさを演出


背景:小規模事務所、若手スタッフで活気はあるが、外部からは堅苦しい印象

施策

サイトにスタッフのイラスト+写真を組み合わせたデザインを採用

SNSで日常のワンシーンや働き方を発信

無料相談で気軽に話せる雰囲気を広めた


成果:若い経営者からの相談が増え、親しみやすい税理士事務所として認知度がアップ。同時にスタッフ募集でも応募が増加した。



事例3:DXとAI導入をブランド資産に


背景:地方の老舗事務所。信頼と実績はあるが古いイメージで新規のお客様が少ない

施策

クラウド会計を全面的に導入し、お客様とリアルタイムでデータを共有していることをアピール

サイトでAI 導入事務所を明示し、活用事例を公開

お客様向けに「デジタルで変わる税務」と題するセミナーを開催


成果:既存のお客様満足度が上昇し、同時に若手経営者から最新の取り組みをしている事務所として選ばれるようになった



これらの成功例に共通していることが「選ばれる理由」を明確化していることです。

その理由に応じてビジュアル・コミュニケーションを組み立てていることがわかります。

逆に、ここを外してしまったブランディングの失敗例も紹介しておきましょう。



ブランディング失敗例


1.差別化がない「どこにでもある事務所」

背景:サイトやパンフレットに「親切・丁寧・安心」といった一般的な言葉だけを並べる

問題点:他事務所と同じ表現で埋もれてしまい、お客様に「選ぶ理由」が伝わらない

結果:問い合わせが増えず価格競争に巻き込まれる



2.デザインとメッセージの不一致

背景:最新のロゴや派手なデザインを導入したが、実際の対応は旧態依然

問題点:見た目と体験が一致せず「期待外れ」とお客様が感じてしまう

結果:ブランディングが逆効果となり、依頼は増えたが同時に解約率が高まり、結果的にはお客様は減少した



3.発信が途切れる

背景:ブログやSNSを始めたが、担当者を明確に決めなかったため更新が数か月で止まる

問題点:情報が古いまま残り「活動していない事務所」という印象を与えてしまうj

結果:信頼性が低下し、採用や顧客獲得に悪影響を与えてしまった



こうした失敗例の共通点は、言葉や見た目だけで終わってしまい、実際の体験や継続性が伴わないことです。ブランディングはお客様が感じる体験と一致してはじめて効果を発揮します。

最後に、AIやDXを活用した次世代型ブランディングを行っている税理士事務所の事例を紹介しておきましょう。



次世代ブランディング事務所の事例


これは現在提案し、採用が決まった事務所の事例です。

この事務所はもともと先代が開業したもので、息子が跡を継いだ段階でブランディングの相談を受けました。そこでいろいろと話し合い、跡を継いだ所長は「新しいことに挑戦していきたい」という強い思いを持っていることを語ってくれました。

事務所を承継したタイミングで、freeeやマネーフォワードを導入し、既存のお客様も順次クラウドに移行を進めていたことから、この点をブランドとしてアピールすることにしました。


ただ、HPなどはそこまで手を入れる必要はなかったのですが、特徴をアピールするためにAI の機能の一つであるAI チャットボットを提案。24時間、簡単な相談に対応できるようにしました。

また、クラウド会計でリアルタイムにお客様と情報を共有するとともにAI-OCRによる自動仕分けなどを伝え、スピード感の早い事務所という印象を与えることを意識しました。

同時に、AI を使った分析で経営改善提案を行い「相談できるパートナー」として他事務所との差別化を進めていく予定です。


重視したのがDXやAIの導入は効率化ではなく、お客様に安心感を持ってもらうため、と強調。

AIやDXによるサービスの変化を顧客事例で紹介することにしています。

同時に、AI・DX環境で「働きやすさ」をアピールすることで、近い将来新たなスタッフを募集する際は若手人材に響くメッセージを発信していく予定です。


このブランディングでのポイントは、ITの活用を信頼につなげること。

小規模事務所でも導入しやすいIT技術を取り入れることで、未来志向のイメージを打ち出し、新規のお客様獲得を狙っていきます。



AI などを活用している次世代型の税理士事務所は、こうしたブランディング戦略をとることも可能です。特に、他の事務所がAI などを導入していない時期は、ブランドを確立するチャンスかもしれません。


こうしたブランディングは税理士事務所の弱点の一つかもしれません。

広告・宣伝は、お客様の感情に訴えかけるものです。数字による論理性を重視している税理士の領域とはだいぶ離れてしまうのです。だからこそ様々なサポートが必要です。TaxOffice-Supportでは、こうしたブランディングのお手伝いもさせていただいております。興味を持たれた方は、まずはこちらの無料相談からお問い合わせください。



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