繁忙期を乗り切るための事務所内でのコミュニケーション術
- 斉藤永幸
- 12月16日
- 読了時間: 6分

繁忙期はストレスがたまる
12月に入り、年末になってくると税理士事務所で働く皆さんは「またあの季節が来るのか」とげんなりする人もいるのではないでしょうか。そう、繁忙期です。確定申告時期は多くの事務所で、一年で最も忙しい時期です。
普段と比べると、業務量は何倍にも積み上がり、しかも締め切りが決まっているので送れることは許されない。その結果、残業をしても、休日出勤をしても、最後までやりきらなければならない。そんな状態の事務所はありませんか?
そのため事務所の所長もピリピリしがちです。
ミスも増えますし、それを監督しなければいけない所長は非常に気を遣う時期でしょう。しかしちょっと待ってください。所長の負担も増えますが、同時にスタッフの負担も同じように増えるのです。そこで所長が先にピリピリしてしまうと、逆に効率が低下してしまうことがあります。
さらに、繁忙期が明けた時期は、転職活動が増えます。それまで雰囲気が良く、居心地の良い事務所だと思っていたのに、繁忙期の働き方を見て幻滅した。そんな声を聞いたこともあります。
繁忙期は皆がストレスをため、ミスが多くなる時期でもあります。
だからこそ普段より意識してコミュニケーションをとっていく必要があるのです。
繁忙期こそ基本を大切に
繁忙期でやってはいけないことは、普段のコミュニケーションを省くことです。
忙しいとついついコミュニケーションではなく、実際に手を動かすことを優先してしまいがちです。しかしスムーズに繁忙期を乗り切る事務所は、逆にコミュニケーションの場を増やしていますね。
・繁忙期こそミーティングを必ず行う
例えば、普段は週に1回しかやらない朝のショートミーティング。いわゆる朝礼的なものを、繁忙期は毎日やるそうです。10分程度で全員に声をかけ、それぞれの進捗状況を確認するとともに困りごとがないかをチェック。さらにストレスが過多になっていないかも見ているそうです。
「これだけでだいぶ変わってきますよ」
とその所長は話してくれました。
・タスクの見える化
タスクを見える化しておくのも良いですね。
これはまた別の事務所の話ですが、ホワイトボードを3つ並べて、それぞれにチームごとのやるべきことを抜き出して置き、終わったらそこにチェックを入れる。皆で情報を共有し、誰が遅れているか、などを一目でわかるようにしているそうです。
繁忙期といっても手が早い人、遅い人がいるので、自然と遅れている人を皆でフォローしあえるようになったそうです。また、過度の負担が発生していないかを確認するのに役立っているそうです。
・所長やリーダーがタスクをチェック
また、タスクの抜出で、クラウドツールなどを使って情報共有している事務所もありますね。その事務所は繁忙期にやることをタスク化してTo Do リストを作成。それを所長やリーダーが毎日「今日中にやらなければならない」「2~3日中に片づける」「後回し可」のチェックを入れていくそうです。
スタッフは優先順位で迷わずに済むので、繁忙期でもストレスなくスムーズに仕事に取り組めているそうですよ。

繁忙期はいかにストレスを軽減できるか、が勝負
上記のような取り組みは、繁忙期でも仕事をスムーズに行うために、多くの事務所でも取り入れていただきたい工夫ですね。ただ、真似るだけでなくその理由の部分も参考にしていただきたいと思います。こうした工夫をしている事務所は、繁忙期のストレス軽減を目的としています。そのためちょっとした工夫をけっこう取り入れていますね。例えば、繁忙期は1時間に5分程度でも休憩をとるようにしているといいます。忙しい時はついつい熱中して、気が付くと何時間も机の前にいた、ということも多くなります。気が張っているときには気づかないのですが、繁忙期が終わると一気に反動が来てしまいます。
1時間に5分程度でも、飲み物を飲んだり、ちょっと気分転換をしたりすると、それだけでストレスは大幅に減らすことができます。
・繁忙期こそきめ細やかな声掛けを
また、繁忙期こそ声掛け、フィードバックを積極的に活用していただきたいですね。
所長が率先して「大丈夫?」「手伝えることはある?」など短い言葉で安心感を与えるよう心掛けてください。また、繁忙期は仕事が終わって帰るときなどに「ありがとう」や、フォローしてくれたりしたときには「助かった」など声を出すことが重要です。
本当は普段からフィードバックについては事務所の文化にしていただきたいのですが、それができていなかったあとしても繁忙期には意識的にフィードバックをしていきましょう。
・ツールは使い倒す
他にも、繁忙期をうまく乗り切っている事務所は、ツールの使い方がうまいですね。
タスク管理などをアプリで行い、進捗を共有することで口頭確認を減らし、効率化している事務所もあります。また、今年は間に合わないかもしれませんが、AI はぜひ活用したいところです。
繁忙期が立て込む理由の一つに、お客様から資料がなかなか届かない、などがあります。お客様の経理データをクラウドで共有し、AI で自動仕訳まで行っていれば、かなりの負担を減らすことができます(AI の導入についてはこちらから無料で相談いただけます)。スタッフはそれをチェックし、申告書にしっかり反映できているか確認だけすればよくなります。
繁忙期は事務所のコミュニケーション力が試される場でもあります。
普段は順調に運営されている事務所でも、繁忙期になると雰囲気がギスギスしてしまう。そういう事務所も多いのです。しかしちょっとした工夫で、スタッフのストレスを減らし、繁忙期でも気持ちよく働ける環境を作ることはできます。特にツールはぜひ活用していただきたいですね。チャットツールなどは無料のものもたくさん出ていますし、AIの活用などは私の方でもサポートすることが可能です。
興味がございましたらこちらの無料相談からお問い合わせください。
今年の繁忙期もしっかり準備して、がんばって乗り切っていきましょう!
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