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いまさら聞けないRPAとは?税理士事務所が導入すべき理由と活用法



RPAを有効活用している事務所のイメージイラスト
規模の大きな事務所では当たり前になりつつRPAですが、中小規模だとまだ理解が進んでいないようです

先日、ある税理士事務所の所長と話をしていて質問にあったのが「RPAってそもそも何?」ということです。


この時は、税理士事務所のいわゆる「作業」にかかる負担を減らすことができないか、という相談でした。話を聞いてみると、自計化を進めているがお客様の体制がなかなか整わず、仕訳入力に大きな負担がかかっている、とのこと。そこで「RPAを導入したらどうですか?」との問いに対する答えだったのです。


このRPAはAIなどと一緒に語られることが多く、組み合わせると非常に効率的で生産性を劇的に高めることができます。しかしRPAはAIに比べると知名度も低く、理解されていないことも多いようです。

そこで今回は「いまさら聞けないRPAについて」として、基礎からその情報をお伝えしたいと思います。



RPAと税理士事務所は相性が抜群!


RPAとは、Robotic Process Automationの略で、パソコンで行っていた作業を自動化することができます。いわば税理士事務所で人が行っていた単純なPC操作を、ソフトウェア上のロボットが代行するようなイメージですね。

そのためPCを多く利用する業界では広く導入されており、自動的に処理する仕組みなので、人的ミスの削減や作業時間の短縮など、大きな成果を上げています。そしてこの技術は非常に税務会計業界と相性が良いのです。


例えば、以下のような業務がRPAで自動化することが可能です。


  • 顧問先ごとの月次資料の取り込み・保存

  • 会計ソフトへのデータ入力

  • 税務申告書の作成補助

  • 顧問先への定型メール送信


こうした業務は正確性が求められ、スタッフに負担がかかる作業です。これを大幅に軽減することで、付加価値の高い業務に集中できる環境を整えることができるのです。段階的に適用範囲を広げることで、無理なく定着されることが可能です。


わかりやすく、AI・AI-OCR・RPAをそれぞれの役割と特徴で比較してみましょう。


🧠 1. AI(人工知能)

● 役割

「考える」「判断する」ことが得意。大量のデータからパターンを学び、推論したり予測したりする。

● 税理士事務所での例

  • 仕訳の自動提案

  • チャットボットによる顧問先対応

  • 過去データからの異常値検知

  • 文書の要約や文章生成

● 特徴

  • 学習して精度が上がる

  • 曖昧な情報にも対応できる

  • 人間の“判断”に近い処理が可能


📄 2. AI-OCR(AI搭載の文字認識)

● 役割

紙やPDFの文字を読み取り、データ化する技術。従来のOCRよりもAIが入ることで精度が高い。

● 税理士事務所での例

  • 領収書・請求書の読み取り

  • 年末調整書類のデータ化

  • 顧問先から届くPDFの自動読み取り

● 特徴

  • 手書き文字にも強い

  • レイアウトがバラバラでも認識しやすい

  • 「読む」ことに特化している(判断はしない)


🤖 3. RPA(Robotic Process Automation)

● 役割

パソコン上の定型作業を“人の代わりに操作する”技術。クリック・コピー・貼り付け・ファイル移動などを自動化。

● 税理士事務所での例

  • 会計ソフトへのデータ転記

  • 顧問先フォルダへのファイル整理

  • 電子申告システムへのログイン・データ送信

  • 毎月の定型メール送信

● 特徴

  • 判断は苦手(ルール通りに動く)

  • 24時間ミスなく作業

  • 「作業の自動化」に特化


3つの違いをまとめて見ると、次のようになります。

役割

できること

税理士事務所での活用

AI

判断支援・推論・予測

仕訳提案、文章生成、異常検知

AI-OCR

文字を読む

領収書・請求書のデータ化

RPA

作業を自動で実行

転記・整理・送信などの定型作業


これらはそれぞれ単体でもかなり効果はあるのですが、実務ではこの3つを組み合わせたときに大きく力を発揮します。


  • AI-OCRで読み取る

  • AIで判断・分類する

  • RPAで会計ソフトに登録する


この流れを簡単に図にすると、以下のようになります。


AI-OCR、AI、RPAで仕分けを自動化する流れのイラスト

この流れが実現すると、”紙 → データ化 → 判断 → 会計入力”までがほぼ自動化されます。

AI-OCRで領収書を読み取り、AIで仕訳・分類を行い、RPAで会計ソフトへ転記する。それらを人がチェックし、AIで判断できない部分を補っていくのです。



税理士事務所での具体的なRPAの活用シーン


上記では、いわゆる仕訳入力までをRPAやAIを使って、ほぼ自動化できるという話をしましたが、活用できるシーンはそれだけではありません。RPAを次のような場面でも非常に使い勝手の良いツールです。


  • 月次処理

    • 顧問先フォルダの自動整理

    • 会計ソフトへのデータ転記

  • 年末調整

    • 書類のチェック → データ化 → 取り込み

  • 電子帳簿保存法対応

    • PDFの命名・仕分け

  • 電子申告

    • ログイン → 送信 → 保存までの自動化


他にも様々な業務をRPAで省力化できます。

また、ここまで省力化、時短などの実利面でのメリットを述べてきましたが、RPAの導入するメリットはそれだけではありません。


①時間削減・コスト削減

RPAを導入するメリットとして挙げられる最大のものは、やはりここでしょう。実際にかなりの削減効果があり、中には1人で8時間かかっていた作業が30分程度に削減できた、という事務所からの報告も受けています。

また、多くの作業をRPAが肩代わりするため、それをチェックするスタッフは少人数ですむのでコストも大幅に削減することができます。


②ミス削減

人が行うものは、必ずミスが発生します。入力する欄を一つずらしてしまっていた、桁数を間違えて入力してしまった、そんなミスをしてしまった経験もあるのではないでしょうか。

しかしRPAは決められた作業しかできない一方で、必ず同じ作業を繰り返します。そのためヒューマンエラーをかなりの確率で防止することができます。


③人材活用

単純作業はRPAが担うことで、人は時間に余裕が生まれます。そこでより創造的な業務に取り組むことができます。

付加価値の低い業務はRPAやAIが担い、付加価値の高い業務はスタッフが担当することで、人材をしっかり活用することができるようになるのです。


④組織改善

また後でも触れますが、RPAを導入する際は業務の棚卸が必須です。そのため属人化の解消・標準化の促進を図ることができるため、導入するだけでも組織として一つレベルを上げることができます。


⑤心理的効果

作業の負担が少なくなるので、スタッフのストレスが軽減され、離職の防止にも効果があります。また、RPAで自動化していることをしっかりアピールできれば、採用の際にも非常に有利に働きます。



RPA導入のステップと注意点


AI導入についての記事でも触れましたが、RPAも同様に”適切なステップを踏んで導入しないと効果は出ません”。それどころか、コストがかかるので、マイナスになってしまいます。そこでどんな導入をすれば、より効果を高めることができるのか、について考えていきましょう。

基本的な導入ステップは以下のようになります。


  1. 業務棚卸し(見える化)

  2. 自動化候補の選定

  3. RPAツールの比較(使いやすさ・サポート・費用)

  4. 小さく試す(1業務から)

  5. 効果測定

  6. 全体展開


特に重要なのが”業務の棚卸”です。

どんな業務をRPAに置き換えるのか、その業務はどのように行われていて、どこを自動化するのか。どんな作業をどんな手順で行っているのか。こうした業務の棚卸をしっかり行ったうえでないと、RPAは力を発揮できません。


繰り返しになりますが、RPAは判断をすることはありません。

複雑な業務を行っていても、それは単純作業を組み合わせたもので、あくまでも繰り返しの作業を自動的に行うものでしかないのです。だからこそしっかりとした業務の棚卸をしたうえで、こうしたら次にこうする、それが終わったらこれをこうする、といった作業の手順をしっかり固めておかなければならないのです。


他にもメンテナンスが必要であったり、セキュリティ対策なども考えなければいけません。

非常に効果の高いツールである一方で、あくまでもツールであり”万能ではない”のです。



よくある質問


ここでは、RPAについてのお話をする際、よくある質問をまとめてみました。


Q. ITが苦手でも使える?

RPAは「専門知識がないと使えない」というイメージがありますが、実際は日常的にパソコンを使っているレベルで十分です。最近のRPAツールは画面操作がシンプルで、マウス操作の記録やドラッグ&ドロップで設定できるものも多く、職員が自分で簡単なロボットを作れるケースもあります。導入時に操作マニュアルや動画を用意しておけば、ITが得意でない職員でも問題なく使いこなせます。


Q. 費用はどれくらい?

費用はツールによって幅がありますが、一般的には月額数万円〜十数万円が中心です。ただし、RPAは「人件費の代替」ではなく、作業時間の削減効果で十分に元が取れるケースが多いのが特徴です。

たとえば、毎月10時間の作業を自動化できれば、それだけで年間120時間×携わっていた人数分の削減になります。繁忙期の負荷軽減や残業削減にも直結します。


Q. どの業務が向いている?

RPAに向いているのは、次の3つの条件を満たす業務です。

① ルールが明確(判断がいらない)

② 手順が毎回同じ(定型作業)

③ ボリュームが多い(時間がかかる)


これを税理士事務所に当てはめると、

  • 会計ソフトへのデータ転記

  • 顧問先フォルダの整理

  • 電子申告のログイン〜保存

  • 年末調整のデータ取り込み


こうしたものが典型的な”RPA向きの業務”です。


Q. トラブル時はどうする?

RPAは人間と同じで、環境が変わると動かなくなることがあります

(例:画面レイアウトが変わった、ファイル名が違う、ネットワークが不安定など)

ただし、ほとんどのトラブルは

  • 設定の見直し

  • 手順の再記録

  • 条件分岐の追加


    などで簡単に解決できます。

また、導入時に「誰がメンテナンスを担当するか」を決めておくと、運用が安定します。


Q. 職員の反発は起きない?

「仕事を奪われるのでは?」という不安が出ることはあります。しかし、実際に導入した事務所では、反発よりも“助かった”という声の方が圧倒的に多いです。

理由はシンプルで、RPAが代行するのは

  • 単純作業

  • 面倒なルーティン

  • ミスが起きやすい作業

    といった“誰もやりたくない仕事”だからです。

むしろ、職員が本来の専門業務に集中できるようになり、「働きやすくなった」「ストレスが減った」という反応が多いですね。



まとめ:RPAは「人を減らすため」ではなく「人を活かすため」


RPAやAIの議論で必ず出るのが「仕事を奪われる」というものです。

しかしここまでお話ししたように、RPAは単純作業をミスなく反復する、というものです。そしてそうした業務は、スタッフに大きなストレスになっていることが多いのです。つまり、RPAを導入することで人材コストを削減することはできますが、本質的にはRPAの導入で生まれた時間的な余裕を、より付加価値の高い業務に振り分けることを可能にするのです。


ただ、大規模なRPA導入は導入コストも高くつきますし、幅広い業務の棚卸をするのも大変です。だからこそ、中小規模の税理士事務所では、無理に大規模導入を目指す必要はありません。まずは1つの業務から小さく始め、効果を実感しながら少しずつ広げていく。この“スモールスタート”こそが、もっとも現実的で、もっとも失敗しにくいアプローチです。この第一歩をどう選ぶかが、導入成功のカギとなります。


「どの業務から始めるべきか」「うちの事務所に向いているのか」など、判断に迷う場面も多いでしょう。

もし興味を持ち「まずは一歩踏み出してみたい」と感じたら、お気軽に無料相談よりご連絡ください。

・自動化に向いている業務の見分け方

・導入前に確認すべきポイント

・小さく始めるためのステップ

・事務所の規模別お勧めの導入パターン


こうしたものもしっかりお伝えすることが可能です。



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