ITが苦手な税理士事務所の所長でも使い始められるAI入門(超初心者向け)
- 斉藤永幸
- 3月30日
- 読了時間: 20分

私がこれまで書いてきた記事の中で、読者の反応が高い話題がいくつかあります。その一つがAIについて。それだけ税理士事務所の所長は、AIについて関心が高いのでしょう。一方で、こんな声も多いですね。
結局AIって何なの?
便利そうだけどよくわからない。
クラウド会計と同じようなもので、いつかはやらなければいけないんだけど、今はまだ様子見でいいかな。
どれだけ効果があるかわからないものにお金をかける余裕はない。
そこで今回は、ITが苦手な所長でもわかるAIの始め方、AI入門についてまとめてみました。
1.今なぜ、税理士事務所にAIが必要なのか
ITで新しい技術が世の中に出てくると、多くの人が関心持つ一方で「よくわからない」「自分とは関係ない」という意見も多いです。特にITが苦手な人は、できるだけ避けたい話題かもしれません。
しかし、AIに関してはまったく別です。
まず結論から言いましょう。
結論:税理士事務所のAI活用するのは簡単で、今日からでも始められる
そのうえで非常に効果が高いのです。
もちろん業務改善など高度な使い方もできます。
しかし、
・メール作成
・文章整理
・スタッフ教育
といった機能の一部だけを使うだけでもかなり効果的で、しかも”簡単”です。
税務会計業界は人手不足・採用難が深刻化しています。しかも業務量は増えているのに、単価は上がりにくい。これは業界全体が抱える構造的な問題です。
そこに効果的にアプローチできるのがAIです。
よく誤解されているのが、AIを導入すれば仕事が奪われる、という意見。しかし税理士事務所に限っては、それは当てはまりません。税理士事務所のAIは「人を減らす道具」ではなく「業務を回すための補助エンジン」といった役割になります。
そのうえで専門知識はそこまで必要ではなく、簡単に扱うことができるのですから、ITが苦手な所長ほど恩恵が大きいのです。
では税理士事務所にとって、そもそもAIってどのような存在なのでしょうか?
2.AIって結局何?(5分でわかる超AI入門)
AIについて技術的なことを書いていくと、いつまでたっても終わりませんし、それを税理士事務所の所長が理解する必要はありません。まず重要なのは、AIとはどのような存在で、どんなことができるのか、を知るところから始めましょう。
AIは様々なことができます。例えばAI-OCRで領収書などの証憑をスキャナーで読み込み、仕訳を切ることもできますし、顧客のデータを読み込み経営状況を分析することもできます。
しかし最初のステップではそこまでやるには相応の知識や準備が必要になります。
ここでは代表的な生成AIであるChat-GPTやMicrosoft365を使っていると無料で使えるCopilotなど、始めやすいAIについて話をします。
■AI=文章を作るのが得意な”相談相手”
AIと聞くと「難しい技術」と思いがちですが、使い始めるために必要な知識は非常にシンプルです。
一言で言うと”文章を作るのがとても上手な相談相手”です。
・説明文を作る
・メールを整える
・マニュアルの下書きを作る
・長文を短くまとめる
こうした文章に関する作業がとにかく早い。
これらの機能を使うために、ITの知識は不要です。
新人に話すように指示すれば動いてくれます。
■AIでできること/できないこと(超シンプル版)
専門的な知識があれば、様々なことができるAIですが、知識がなくても次のようなことは簡単にできるようになります。
●AIにできること
・文章作成(説明文・案内文・メール文)
・要約
・チェック(誤字・抜け漏れ)
・アイデア出し
・難しい内容を分かりやすく説明
→税理士事務所の文章仕事の8割に使うことができます
●AIにできないこと
・法的な判断
・最終的な責任を伴う判断
・正確な数値の補償
・事実確認(最新情報の裏取りなど)
→AIはあくまでも”下書き担当”で、最終判断は人間です
■AIは魔法ではないが、正しく使えば協力
メディアの報道などでは、AIがすべてを変える、AIが人間を超える、など不安を煽ったり、センセーショナルに伝えていますが、現在のAIにはそこまでの万能性はありません。
しかし「指示の出し方」さえわかれば、事務所の文章仕事を劇的に軽くする道具になります。
・文章作成のスピードが上がる
・品質が均一化する
・所長の時間が増える
・職員の負担が減る
魔法ではないけど、文章仕事の自動化という意味では、非常に高い近い効果があります。
■税理士事務所と相性が良い理由
私はこれまで、AIを導入している事務所としていない事務所で大きな差がつく、と記事に書いてきました。その理由は、税理士事務所の業務は、AIと非常に相性が良いからです。
その理由を見ていきましょう。
①説明が多い仕事だから
制度改正、税制改正、補助金、記帳指導……。
税理士事務所はお客様に説明する文章がとにかく多い。
AIはこの部分を圧倒的に助けてくれます。
②「文章の型」が多いから
・案内文
・催促分
・お礼メール
・マニュアル
・チェックリスト
こういった文章は型が決まっていることがほとんどです。
そして、型がある仕事はAIが最も得意とする分野です。
③専門知識を”わかりやすく伝える”必要があるから
税理士事務所では説明をするとき、これくらいだったらお客様に伝わるかな、と調節をしながら行っていると思います。
この調節もAIで行うことができます。
AIは「小学生でもわかるように」と指示を出せば、相手に合わせた説明が得意なのです。
④所長の時間を奪う”細かい文章仕事”を代行できる
AIは24時間働き疲れません。
その上、仕事も早いため、所長の負担を大きく減らすことができます。
3. 税理士事務所でAIを使うと何が楽になるのか
アンケートを取ったわけではありませんが、AIを使い始めた税理士事務所の所長と話をしている中で「AIが役に立ったな」と感じる仕事を聞くと様々な答えが返ってきました。これを私の方で勝手に順位をつけてみました。
1位:お客様へのメール
2位:議事録作成
3位:マニュアル作成
4位:セミナー資料
5位:SNS・ブログ
税理士事務所の仕事は、数字だけではありません。
むしろ文章・説明・案内・チェックといった”言語の仕事”が非常に多いのです。
この部分にこそAIが圧倒的にパフォーマンスを発揮します。
ここでは、あなたの事務所でAIを使うと何が楽になるのか、について実務ベースでわかりやすくまとめてみました。
① 顧問先への説明文が一瞬で作れる
税制改正、インボイス、電子帳簿保存法、補助金…。顧問先に説明する文章は毎年のように増えています。
AIを使うと:
「制度のポイントを分かりやすくまとめて」
「中小企業向けに噛み砕いて」
「顧問先に送るメール文に整えて」
と指示するだけで、数分で説明文の下書きが完成します。
→ 所長の“説明文づくりの負担”が激減する
② メール文の下書きが自動で整う
税理士事務所のメールは意外と時間を取ります。
催促
案内
お礼
依頼
注意喚起
これらはすべてAIが得意な領域。
「丁寧だけど簡潔に」「急ぎで伝えたい」など条件をつければ、所長の“メール作成時間”が半分以下になります。
③ マニュアル・チェックリスト作成が一気に進む
新人教育や業務標準化のために必要なマニュアル。作りたいけど、時間がなくて後回しになりがちです。
AIなら:
業務の流れを箇条書きで伝える
「マニュアル形式にして」と指示する
これだけで、骨組みが一瞬で完成します。
チェックリストも同様で、「年末調整のチェックリストを作って」と言えば、抜け漏れのない案をすぐに出してくれます。
④文章のチェックをしてくれる
文章のチェックはとても時間のかかる作業です。
思ってもみないところに誤字脱字があったり、文章の修正を繰り返すといつの間にか論旨が変わっていたりしますが、それに気づかないことも多いのです。
しかしAIは文章を整えるのが得意です。
文章を読み込ませて、
・誤字脱字をチェックして
・読みやすくして
これだけでチェックして誤字脱字や日本語として誤った用法をしている部分や論理構造がおかしい部分などを指摘し、文章を整えてくれます。
⑤ 職員教育の質が上がる
AIは「説明の仕方」を変えるのが得意です。
新人向けにやさしく
中堅向けに要点だけ
顧問先向けに丁寧に
小学生にも分かるように
同じ内容でも、相手に合わせて説明を作り分けることができます。
これは、教育コストが高い税理士事務所にとって大きなメリットです。
結論:IT初心者の所長でも、確実に楽になる部分が多い
税理士事務所の仕事の多くは、「説明する」「まとめる」「伝える」「整える」といった文章業務。
ChatGPTやCopilotAIなどの生成AIは文章仕事に特化したツールなので、導入した瞬間から効果が出やすいのが特徴です。
4.AIでここまで変わる(Before After)
では実際に、どこまで文章仕事が楽になるのでしょうか。
ここでは税理士事務所でよくある3つの場面を例に、AI導入前後の違いを見ていきましょう。
◆実例①:顧問先向けの制度説明文
例えばお客様にインボイスの説明をする文章を作ってみましょう。
● Before(所長が自力で作る)
文章を考えるのに30〜60分
専門用語が多く、顧問先に伝わりにくい
何度も書き直して時間がかかる
忙しい時期は後回しになりがち
● After(AIに“下書き”を作らせる)
指示を出すだけで1〜2分で下書き完成
専門用語を噛み砕いた説明が自動で作られる
トーン(丁寧・簡潔・初心者向け)も指定できる
AIに出す指示例:
「インボイス制度のポイントを、中小企業向けに分かりやすく説明文にして。小学生にも理解できるレベルで。」
◆実例②:催促メール
お客様に資料の催促をするメールを作ってみましょう。
● Before(所長が自分で書く)
文面を考えるのに10〜15分
失礼にならないように気を遣う
忙しいと後回しになり、未提出が増える
● After(AIに整えてもらう)
30秒で丁寧な文面が完成
トーンを「柔らかめ」「急ぎ」など調整可能
所長のストレスがゼロに近づく
AIに出す指示例:
「資料未提出の顧問先に、失礼にならない柔らかい催促メールを作って。」
◆実例③:新人向けマニュアル
● Before(所長 or ベテラン職員が作成)
作成に数時間〜数日
書き方が人によってバラバラ
説明が長くなりがち
結局「口頭で教える」になりがち
● After(AIで骨組みを一瞬で作る)
5分で“たたき台”が完成
説明の抜け漏れが減る
形式が統一される
職員教育の負担が激減
AIに出す指示例:
「年末調整の流れを、新人向けマニュアルとして分かりやすくまとめて。」
結論:AIは“文章仕事の負担”を劇的に減らす
ビフォーアフターを見ると分かる通りAIは、
説明文 → 1時間が5分に
メール → 10分が30秒に
マニュアル → 数時間が5分に
というレベルで、税理士事務所の文章仕事を自動化してくれます。
IT初心者の所長でも、「指示を出すだけ」でここまで変わります。
5.今日からできるAIの始め方
AIを使いこなすためには、特別な知識は必要ありません。
「まずは触ってみる」という一歩だけ。
ここでは、ITが苦手な所長でも迷わず始められるように、最短ルートのステップをまとめて見ました。
STEP1:使うAIツールを1つだけ決める
AIを税理士事務所で使う場合、専門的な知識があれば様々な選択肢があり、より最適なものを選ぶことができます。
ただ、最初の段階ではそこまでの選択は必要ありません。「なんとなく」で決めても大丈夫です。お勧めは利用者の多いChatGPTか、Microsoft365が入っている人なら利用できるCopilotあたりですね。どちらもまずは無料で利用することができまし、お手軽に始めることができます。
STEP2:まずは触ってみる
何事もまずは触ってみることが大切です。
AIは会話で指示を出すので、適当な指示を出してみましょう。
もし何も思いつかなければ、次の文章を打ち込むか、コピペで入力してみてください。
あなたは税理士事務所の所長として、顧問先に提出期限をやさしく伝えるメールを書いてください
どうでしょうか?
一気にメールの下書きができたと思います。
あとはこれを繰り返すだけです。
STEP3:1日1回、使ってみる
AIは使えば使うほど慣れていきます。
最初は業務に関係ないことでも構いませんので、毎日使ってみることをお勧めします。
例えば、
・今日のニュースをわかりやすく教えて
・この文章を丁寧にして
・このメールを短くして
とにかく使う習慣を作ることが最初の一歩です。
STEP4:実務で使うメールの下書きをAIに任せてみる
税理士事務所ですぐに効果が出るのがメール文です。
・催促
・案内
・お礼
・依頼
AIでこれらのメールの下書きを作ってみましょう。
例:
丁寧な言葉で、お客様から送られてきた資料を本日受け取った旨を伝えるメールを作って
→30秒で”使える文面”が出てきますよ。
STEP5:お客様向けの説明文をAIに作らせる
次に試すべきは、説明文の作成
・税制改正
・インボイス
・電子帳簿保存法
・補助金案内
これらは所長の負担の大きい仕事ですが、AIなら1~2分で下書きが完成します。
例:
電子帳簿保存法のポイントを、中小企業の経営者向けにわかりやすく説明して
→文章の骨組みが一瞬で出来ます。
STEP6:AIでできることを増やしていく
ここまでくれば、あとはAIの活用の幅を広げていくだけです。
例えば、事務所内の文章をAIを使って整えてみてはいかがでしょうか。
マニュアルやチェックリスト、スタッフへの指示文などをAIに読み込ませ「読みやすくして」「わかりやすくして」と指示するだけで、文章の質が一気に上がります。
また、こうしたノウハウは所長だけでなく、スタッフにも広げていくと効果が高まります。
小さくてもいいので、AI活用の共有を行っていきましょう。
便利だった使い方、気を付けたポイント、などを共有するとスタッフも真似しやすく事務所全体に広がり、1か月で”AIが当たり前にある事務所”となっているでしょう。
Point:
AIを使う際、重要なのは「完璧を目指さない」ことです。
指示に対してAIが完璧な答えを出すとは限りません。
そこで落ち込んで、うまく使えないからやめた、となるのが一番まずいことです。
望むような答えが返ってこないときは、言い方を変えて指示を出し直したり、答えを元に修正をするなど、柔軟に対応してみましょう。
慣れてくれば「これくらいの指示を出せば大丈夫だな」というラインが見えてきますよ。
6.税理士事務所向け、最初のプロンプト10選
プロンプトとは、AIへの指示文のことです。
AIはこちらが書いた文章を読み取って動きます。そのAIに渡す依頼書のようなものです。
そう聞くと「難しそう」と思うかもしれません。しかし難しい書き方をする必要もありませんし、短文でも大丈夫です。基本的にスタッフに指示をするのと同じ書き方でOKです。
このプロンプトが上手いと、AIをうまく使いこなすことができます。
最初にポイントとなるのは3つだけ。
・何をしてほしいか
・誰向けなのか・
・どんなトーンなのか
これを入れるだけで、AIの精度は上がります。
税理士事務所は、よく使う文章の種類が決まっています。
そこで事務所でよく使う”指示の型”を作っておくと、誰でも同じ品質でAIを使うことができます。ここではお勧めのプロンプトを10個紹介したいと思います。
■お客様向け(説明・案内)
① 税制改正の説明文を作る
「令和◯年度税制改正のポイントを、中小企業向けに分かりやすく説明してください。専門用語は使わず、例え話を入れてください。」
用途: メール・ニュースレター・資料作成
② 電子帳簿保存法の説明文(初心者向け)
「電子帳簿保存法の内容を、ITに詳しくない中小企業向けにやさしく説明してください。小学生でも理解できるレベルでお願いします。」
用途: 顧問先説明・セミナー資料
■メール文(催促・案内・お礼)
③ 資料未提出の柔らかい催促メール
「資料未提出の顧問先に送る、失礼にならない柔らかい催促メールを作ってください。トーンは丁寧で、相手を責めない表現にしてください。」
用途: 毎月の資料回収
④ 面談日程の案内メール
「顧問先に面談日程の候補を送るメール文を作ってください。丁寧・簡潔・読みやすい文章にしてください。」
用途: 定期面談・決算前打合せ
■事務所内業務(マニュアル・チェックリスト)
⑤ 年末調整のチェックリスト作成
「年末調整の作業手順を、新人向けチェックリストとして作成してください。抜け漏れがないように、ステップごとに整理してください。」
用途: 新人教育・業務標準化
⑥ 月次処理のマニュアル作成
「月次処理の流れを、初心者向けマニュアルとして分かりやすくまとめてください。箇条書きで、必要な資料・注意点も入れてください。」
用途: 職員教育・業務効率化
■文章チェック
⑦文章の誤字脱字チェック
「この文章の誤字脱字をチェックし、わかりやすく改善してください」
用途:文章の校正
■スタッフ教育(説明・研修資料)
⑧新人向け業務説明文
「新人職員に向けて、税理士事務所の基本業務を分かりやすく説明してください。難しい言葉は使わず、例え話を入れてください。」
用途: 新人研修・OJT
⑨顧問先への説明練習用スクリプト
「職員が顧問先に説明するための、分かりやすい説明スクリプトを作ってください。テーマは『インボイス制度の基本』でお願いします。」
用途: 職員の説明力向上・顧問先対応
■企画・アイデア出し
⑩セミナー企画
「税理士事務所として開催するセミナーテーマを10個出してください」
用途:新規顧客開拓、営業
まずはこの10個のプロンプトを使って、文章を作ってみましょう。
これらを少しずつ自分なりにアレンジし、調節すれば、事務所の文章仕事の大半を回すことができますよ。
7.AIを安全に使い、失敗を防ぐためには
AIはとても便利な道具ですが、正しく使うためには“最低限のルール”があります。そして、導入時にやりがちな“落とし穴”も存在します。ここでは、所長が安心してAIを使い始めるための基本をまとめます。
■ 安全に使うための基本ルール(これだけ守れば大丈夫)
まず押さえておきたいのは、情報の扱い方とAIとの距離感です。
● 個人情報はそのまま入れない
顧問先名・住所・売上など、特定できる情報は入力しないのが基本です。
● 匿名化すれば安全に使える
「A社」「飲食店の顧問先」「年商1億円の会社」など、特定できない形に置き換えれば問題なく使えます。
● AIの回答は“下書き”として扱う
AIは便利ですが、完璧ではありません。文章の骨組みを作るのは得意ですが、最終的な表現や判断は人間が行う前提で使います。
● 最終判断は必ず人間が行う
法的判断・数値の確定・責任を伴う判断は、必ず所長や職員が確認する必要があります。
→ この4つを守れば、安心してAIを業務に取り入れることができます。
■ AI導入で失敗する事務所の共通点(やりがちな落とし穴)
次に、実際の税理士事務所でよくある“失敗パターン”です。これを避けるだけで、AI導入はスムーズに進みます。
● 所長が触らない
所長が使わないと、スタッフも使いません。まずは所長が“軽く触ってみる”ことが成功の第一歩。
● ルールを作らず職員に丸投げ
「好きに使っていいよ」では混乱します。最低限のルール(個人情報NG・下書き扱いなど)を決めるだけで十分。
● いきなり高度な業務に使おうとする
決算書の分析や税務判断など、難しい業務から始めると挫折します。メール → 説明文 → マニュアル の順が成功パターン。
● 成果を共有しないため定着しない
「AIでこんな文章が作れた」「この業務が楽になった」こうした小さな成功を共有すると、事務所全体に広がります。
まとめ:ルールを守り、落とし穴を避ければAIは強力な味方になる
AIは無制限で、なんでもできるわけではありません。あくまでもツールの一つであり、使い方をあやまれば失敗するのは当然です。
特にネットにつながっている以上、情報の取り扱いには注意が必要です。個人情報は入れず、匿名化すれば安全です。
同時に、判断するのはAIではなく、人の仕事です。
AIはあくまで下書き。最終的な判断は人間が行うようにしましょう。そのためにもまずはスタッフだけでなく所長がまず使ってみる、ということが大切です。
ここさえ押さえれば、AIは税理士事務所の業務を確実に軽くする“安心して使える道具”になります。
8. AIを使いこなす事務所の未来
ここまで読んでみて、どのように感じたでしょうか。
これを実行すれば、あなたは無事AIの扉を開くことができます。ただ、それは出発点です。ここからさらに使いこなしていけば、多くのメリットが生まれます。AIを使いこなす事務所は単に「業務が早くなる」だけではありません。
もっと根本的に、働き方・教育・顧問先対応・採用力が変わります。
ここでは、AIを活用する事務所がどんな未来を手に入れるのかを、“現実的で、でも少しワクワクする形”で描いてみます。
■ ① 説明の質が均一化し、顧問先からの信頼が上がる
AIを使うと、
説明が分かりやすい
文章が丁寧
情報が整理されている
という状態が“当たり前”になります。
つまり、誰が対応しても一定以上の品質が保たれます。
これは顧問先にとって大きな安心材料で、結果として 「この事務所は説明が丁寧で分かりやすい」 という評価につながります。
■ ② 職員教育が楽になり、育つスピードが上がる
AIは「説明の仕方を変える」のが得意です。
新人向けにやさしく
中堅向けに要点だけ
顧問先向けに丁寧に
同じ内容でも、相手に合わせて説明を作り分けることができます。
その結果、新人が育つスピードが明らかに早くなります。
教育コストが下がり、ベテラン職員の負担も軽くなる未来が待っています。
■ ③ マニュアル・チェックリストが整い、業務の属人化が減る
AIを使うと、「作りたいけど時間がなくて作れない」というマニュアルやチェックリストが一気に整います。
月次処理
年末調整
決算前の準備
顧問先対応の流れ
こうした業務が“見える化”されることで、誰でも同じ品質で仕事ができる体制が整います。
属人化が減り、事務所全体の安定感が増します。
■ ④ 採用力が上がり、応募が増える
AIを導入した事務所は、求職者にとっても魅力が大きく採用で非常に有利です。
求人票
事務所紹介文
採用ページ
SNS投稿
これらで事務所をアピールすれば、応募数が増え、ミスマッチも減るようになります。
■ ⑤ 所長の時間が増え、判断業務に集中できる
AIが文章仕事を肩代わりしてくれることで、所長の時間が大幅に増えます。
顧問先との面談
職員とのコミュニケーション
経営判断
新しいサービスの検討
こうした“所長にしかできない仕事”に集中できるようになります。
結果として、事務所の成長スピードが上がる未来が待っています。
■ ⑥ 「AI前提の事務所運営」が当たり前になる
AIを使いこなす事務所では、次のような光景が日常になります。
職員がAIに文章を整えてもらう
説明文はAIが下書きを作る
マニュアルはAIで更新される
所長はAIに相談しながら文章を作る
これは決して特別な未来ではなく、“普通の事務所の当たり前”になる未来です。
まとめ:AIは事務所の未来を“静かに、確実に”変えていく
今は税理士事務所のAIレベルはまだ最初の段階。
AIを使いこなす事務所は、
説明が分かりやすい
教育が楽
属人化が減る
採用が強くなる
所長の時間が増える
という、強い組織に変わります。
AIは派手な革命ではありません。しかし、毎日の小さな改善が積み重なり、気づいたときには「強い事務所」になっています。
それが、AIを使いこなす事務所の未来です。
結論:税理士事務所のAI活用は、すぐにでも始めることができる
初歩的なレベルでも、AIを活用できている事務所と、できていない事務所では大きな差が生まれます。
AIは、税理士事務所にとって非常に有効な武器です。
まずはメール作成や文章整理など、小さなところからで構いません。
それだけでも、業務の大部分を効率化することができます。
ただ、ここで終わりではありません。
うまく活用していけば、もっと様々なプラスの効果を事務所に生み出すことができます。
私はAIを活用している事務所を次のように5段階のレベルに分けています。この記事を読み、実践した場合、レベル1~2の間くらいでしょうか。
<税理士事務所のAIレベル表>
レベル1:メールが作れる
レベル2:文章整理ができる
レベル3:業務改善にAIを活用できる
レベル4:事務所のDXの中核にAI
レベル5:AI事務所
それでも事務所の文章仕事のかなりの部分を効率化できるはずです。
まずはメール作成や文章整理といったところからAIを活用してみてください。
それだけでも、事務所の業務は確実に楽になります。
ただ、そこから先を見据える場合、最初の方向性を整えるだけで効果の出方が大きく変わります。
「自分の事務所でどう活用すればいいのか整理したい」「無駄なくAIを導入したい」
そう感じた場合は、一度ご相談ください。
事務所の状況に合わせて、無理のない形でのAI活用の進め方をご提案します。
初回相談では、営業や押し売りは一切行いませんのでご安心ください。
まずは小さく一歩踏み出すこと。それが、AIを使いこなす事務所への第一歩です。
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