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税理士事務所がAI導入で得られる最大のメリットは「顧客関係強化」だった|導入プロセスと成功ポイント

お客のビジネスがうまくいき、握手をする税理士のイラスト
AI の導入はただ業務を便利にするだけでなく、お客様との関係強化や顧客獲得にもつながります

AI の導入メリットは「便利になる」だけでなく「顧客関係強化」に大きな価値が


近年、社会全体がAI への関心が高まっており、税務会計業界の中でもAI に取り組むべきなんじゃないか、と意識する事務所が増えています。同時に、「AI に仕事を奪われる」などといううわさも根強く流れています。でもご安心ください。データを見ると、導入した企業200社にアンケートをとった結果、生成AI で業務が楽になった・便利になったという実感はありますか?に対し、少し実感(85名:42.9%)、大いに実感(96名:48.5%)と、90%以上がその効果を実感しています。

そうした世の中の流れに、多くの税理士事務所が生成AI の導入に舵を切ろうとしています。ただ、その多くが作業はどこまで減らせるのか、といった業務効率化のための「機能」に注目したものがほとんどです。しかし税理士事務所がAI を導入するメリットとして大きいもの、それどころかAI を導入して活用することで生じる最大級のメリットともいえるのが、お客様からの信頼強化、そしてより深く関与するきっかけになることです。この記事では生成AI の導入が税理士事務所の最大のメリット=顧客関係強化を、データと実例を交えて解説します。


まずは簡単に、AI 導入の主なメリットについてみていきましょう。


・業務効率化

 仕訳や帳簿作成、領収書のOCR処理、電子申告などの定型業務をAIが自動化。仕訳データの入力や定型の書類の作成などの作成時間短縮・精度向上を実現し、税理士事務所の業務効率化を実現する。


・人手不足の解消

 少人数でも多くのお客様へのサポートが可能に。単純に処理速度が向上するだけでなく、入力作業はAIが、人は判断や確認、付加価値業務事務所のキャパシティを拡張できる。


・品質向上

 誤入力防止や最新法令に即座に対応できるようになり、業務の正確性が高まる。また、お客様に提出する書類などをAI のチェックにかけることで、単純なミスなどを大きく減らすことができるようになります。


・サービスの拡充

 財務分析などが簡単にできるようになり、精度の高い未来予測でお客様の経営をサポートできるようになる。財務KPI の設計からモニタリングなどで資金繰りが苦しくなる前にアラートを出す。そんな未来に対する会計(=未来会計)などに取り組む時間が生まれる。


・人材確保の効果

 若く、優秀な人為細「古い体質の事務所」を策得る傾向があります。「最先端のAI を使いこなす事務所」というブランディングがIT リテラシーの高い若手人材の採用に直結します。


・顧問契約の継続率アップ(ロックイン)

 お客様の経理フローごとAI で構築してしまえば、他事務所への乗り換えしにくくなります。お客様との関係が強固となり、顧問契約の継続率が向上する効果はかなり高くなるでしょう。



機能面だけを考えるのなら、このようなところでしょうか。

同時にAI は社会的にも非常にニーズが大きいものです。つまり、「事務所のお客様」もまたAI に対して高い関心を持っています。そのような状況で、自分たちが普段から接する税理士事務所がAI を導入したらどのように感じるでしょうか。


実際、中小企業のAI に対する関心は非常に関心が高く、ある調査で「関心がない」と答えたのはわずか3.6%、すでに導入済みが42.3%にもなっていました。


中小企業のAIへの関心度調査の円グラフ
中小企業のAI関心度は高く、税理士事務所が導入経験を持つこと自体が大きな信頼につながる


注目したいのは、導入した企業の94.1%が効果を実感している、と回答しています。

また、5人以下の小規模企業でも50%が導入しており、企業規模に関係なくAI に対しては強い関心を持っていることがわかります。



AIを導入した経験そのものが、お客様の感じるメリットとなる


実はAI は初期状態ではそこまで使い勝手の良いものではありません。

最近PCを買い替えた、という人はCopilotなどが標準で搭載されているものもあるので、知らないうちにAI が入っていた、という人もいるでしょう。しかし使い勝手はいかがですか? けっこうな割合で、普段つかっているGoogle検索と変わらないや、と感じている人も多いのではないでしょうか。


AI は使い込んでいく=徐々に学習を進めていくにしたがって、精度の高い答えを導き出せるようになります。つまり、単にAI のソフトをインストールしてそれで終わり、というわけではありません。趣味で使うのであれば気長に使っていって、AI が徐々に育っていくのを見るのも良いでしょう。しかしビジネスで使うのであれば、そんな悠長なことはやっていられません。自分たちの普段行っている業務のフローなどを設定し、それをAI に学習させ、カスタマイズをしていく、という作業が必須なのです。


例えば私たちが税理士事務所にAI を導入する場合でも、以下のような流れを必ず行っています。


1.生成AI ツールの選定

AI は画一的なものではありません。AI によって得意・不得意、また特色などがあります。これを熟知したプランナーがお客様の抱えるご要望や課題などを、お聞きした上で、最適な生成AI を選定します。


2.過去データの連携・学習

生成AI は導入しただけだとすぐに業務効率化はできません。早期にAI が実力を発揮できるようプロンプトエンジニアリング(AIへの指示出し)をプロが設計します。この作業がAI を導入する肝となる部分、税務独自の判断基準を組み込むことで、一般的な生成AI から、税務に精通した生成AI に生まれ変わるのです。 同時に、社内データ連携構築を行います。過去の申告書やマニュアルをAIに学習させ、あなたの事務所専用のAI を作り上げます。


3.入力業務などのルール定着・活用

導入後、しっかりと活用できるように定着支援コンサルを行います。フローの再設計や職員研修を行い、確実に効果が出るまで伴走します


このように税理士事務所が普段どのように実務を行い、どんなふうに働いているかがわからないと真価を発揮することは難しく、ちょっとした便利ツールで終わってしまいます。いわゆる「AI を入れただけ」で実際は活用されない、という事態となってしまうのです。

ちょっと前にDXが注目された時、現場の状況などをあまり理解していない経営者が社内のDXを推進し、使い勝手の悪い業務基幹システムが大量に生み出された、という笑えない現象も起きました。AI もしっかり導入のプロセスを踏まなければ、同じような結果が待っているのです。


つまり、AI は単にソフトや機器を買ってきて終わり、ではないのです。だからこそこの導入のノウハウが重要になってきます。

どのようにしてAI のベンダーやプランナーを選定したのか、どんな打ち合わせを行い、どんな要望を出したのか。それに対してAI を使ってこんなことをしていきましょうという提案を受けたのか。どんなカスタマイズを行い、それにより業務がどのように便利になったのか……。


これは経験しなければわからないことです。

そして、事務所のお客様にとっても重要な情報なのです。



AI 導入があなたの事務所の「強み」に変えるには


つまり、税理士事務所のお客様で大部分を占める中小企業は、AI に関心があってもノウハウが不足しており、導入を進めることができない企業も多いという状況です。だからこそ税理士事務所が導入し、その経験を共有すればお客様からの信頼を得ることができます。

他事務所がなかなかAI の導入が進まない中、これは大きな差別化につながります。他ではできないサービスを提供することで、あなたの事務所のブランド価値を大きく高めることができるのです。


これを税理士事務所として、さらに展開することも可能です。

例えば、


・お客様向け「AI 活用セミナー」や「導入ガイド」を提供

・お客様の経理業務に合わせたAI ツール選定・導入支援サービス

・自社の導入事例をブログ記事やニュースレターで発信し、お客様への指導サービスやマーケティングなども行う


つまりAI 導入しただけでは単なる業務の効率化だけにとどまりますが、そのノウハウをお客様に還元することで「業務効率化+顧客支援+差別化」の三拍子そろったメリットになるのです。


情報提供では、


  • 顧客の不安を解消:「AIは難しい」「コストが高い」という誤解を払拭

  • 事務所の差別化:「税務+AI活用支援」という独自ポジションを確立

  • 顧客との関係強化:単なる税務顧問から「経営のパートナー」へ進化


といった効果を期待することができます。

特に導入支援から行うことで、お客様のバックオフィスのフローなどをより詳しく知ることができ、それに基づいてAI がカスタマイズされます。このAI をしっかり活用していくためには、あなたの事務所の存在が不可欠となりますので、必然的にお客様の継続率の向上などにもプラスとなって働くことになります。

こうして導入した事務所の事例についてみていきましょう。



実際に導入した事務所ではこんな効果が


・中堅事務所が抱えていた課題

その事務所は地方都市で30年続くスタッフ数8名の中堅事務所でした。顧問先は約180社。製造・建設・小売りが中心です。所長は60代、ベテランスタッフが中心にいる安定感が売りの事務所です。

この事務所の課題は「顧問先からの相談対応が属人化」していること。各人がバラバラに調べ方やフォーマットなどを使っていたため、資料作成に時間がかかる、ということでした。

例えば「インボイス制度の対応はどうすればいいの?」「補助金は使えるの?」「決算前に何を準備すべきなの?」といった質問に対して、事務所の基準ではなく担当者がそれぞれの基準で調べて回答。お客様の質問から回答まで、平均2~3日かかっていました。また、経営分析レポートなどの資料作成に、毎月20時間以上かかっていたことも問題点として挙げられています。


・生成AI 導入で一気に効率化

こうした課題を解決するためにAI の導入を決めました。 そこで過去3年分の、

・顧問先からの質問

・回答メール

・提案資料

をAI に読み込ませ、事務所独自のナレッジベースを構築。


また、スタッフが使える「質問対応AI チャットを整備しました。スタッフが質問を入力すると、過去の回答、関連する法令、顧問先の状況を踏まえた回答案が数秒で生成される仕組みを構築。また、決算前の打合せ資料や補助金の可能性診断、経営分析レポートをAI が自動でドラフトを作成。業務効率化を一気に進めることができたのです。

導入して6か月後、状況を確認すると、


1.顧問先からの質問回答スピードが3日当日に短縮(平均時間が70%短縮)

2.提案資料作成時間が月20時間月5時間に短縮


ただ、そいれだけではなかったのです。回答が早くなったことで顧問先が相談しやすい事務所と感じるようになり自然とコミュニケーション量が増大、相談件数が20%増加しました。

また、組織としてAI を活用している事例として、地域の勉強会にも呼ばれることが増え、現在では新しい業務の依頼やセカンドオピニオンの紹介など、売り上げにつながる動きも出てきています。


(所長の評価)

そして所長からはこのように評価をいただきました。

「AIは効率化のためのツールだと思っていたが、実際は“顧問先との距離を縮めるツール”だった。もっと早く導入すればよかった。」



TaxOffice-Supportでは、単にAI の導入だけでなく、さらにその先のAI を活用したブランドの確立、そして情報提供によるお客様との関係強化、といった面でもサポートを行っております。

まずは詳しい話を聞きたい、などご要望がございましたら、こちらの無料相談からご連絡ください。



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