税理士事務所がイラストを使うべき理由(専門性を落とさず親しみを生む方法とは)
- 斉藤永幸
- 12月21日
- 読了時間: 9分

なぜ税理士事務所がイラストなのか
税理士事務所のサポートの仕事をしていると、いろいろな悩みが寄せられます。最近多いのが、お客様とのコミュニケーションの問題です。多くの税理士の方は、直接会ってコミュニケーションをとるのは得意だけど、HPやニュースレターを使って行うコミュニケーションを苦手としている人が多いようです。
「お客様に親しみを持ってもらう方法がわからない」
「HPを作っても反応がない」
「文章だけでは伝わらない」
このような声を聞くことが多いです。
そのためかHPなどはほとんど皆同じパターンです。
税理士事務所の前で集合写真を撮り、所長の自己紹介や信念などを書き、対応できる業務などを載せ、丁寧な事務所だとそれにスタッフ紹介がつく、といったところでしょうか。
専門性の高い事務所だと、格好良いイメージでクールなHPもありますね。ただ、そうしたものはごく一部です。個人事務所~中小規模の事務所だと、そのイメージで仕事をお願いされても、対応が難しいとなってしまうこともあります。そこで中小規模の税理士事務所でHPやニュースレターを作る際、お勧めしているのは「イラスト」をうまく使う、ということです。そこで今回は、税理士事務所がイラストを使うべき理由、について解説していきます。
そもそも税務という業界は、世間一般からどのように思われているでしょうか?
「難しい、固い、わかりにくい」などマイナスのイメージを持たれていることが多いのです。そのギャップを埋める手段がイラストなのです。ただ問題は、軽く見られないか、ということです。そこで今回は、イラストで親しみを表現しつつ、信頼を落とさずに効果を発揮する方法を解説していきます。
税務は抽象的で複雑だからこそイラストが効く
税務を解説するとき、あなたはどのように行っていますか? しっかりと伝えよう、間違いなく伝えよう、と思うほど文章は長文になりがちです。これは税務の概念の多くが「抽象的」だからです。そのため抽象的な表現に慣れていないお客様は文章だけだと理解できないのです。
私は長く法律を勉強してきましたが、同じようなことが起きました。例えば判例を紹介するとき「甲は乙に対して弁済義務を負っており、その対価として請求を提起した」というような表現を使います。しかしこれだと普段から法律に接しているような人にしか伝わりません。また法律の解釈の話になると、法的思考(リーガルマインド)を身につけていない人は混乱してしまうこともよくあります。そうした時、私がよく使っていたのがイラスト化です。
イラストは抽象的なものを具体的なものに変換します。
例えば損益分岐点を説明するとき、言葉だけで説明しようとしたらかなりの長文になってしまいます。しかしイラストで表を作成し、それを見せるとどうでしょうか?

このような図を見せてあげれば、直感的に理解できるお客様も多くなります。図やイラストを使ってお客様に説明してあげると、お客様の理解も早くなる=顧客満足度が上がります。
ただ、こうした図などは比較的使いやすいのですが、イラストとなるともうちょっとハードルが上がります。それはポップなイラストを多用すると、軽く見られてしまう、ということです。
専門性を損なわずに”親しみ”を生むコミュニケーションとは
実際、SNSなどで「初めて税理士に相談したけど、何を言っているのかチンプンカンプンだった」という声をよく聞きます。これは専門家ならではのコミュニケーションでよくあることです。だからこそ税理士は「相談しづらい」「敷居が高い」と思われる原因となっています。しかしイラストはその心理的ハードルを大きく下げることができます。ただ、税理士事務所は信頼で成り立っています。お客様から信頼されてはじめて「適切な税務サービス」を提供できる、ということを忘れてはいけません。
だからこそ”ゆるすぎる”と逆効果になってしまいます。
専門性✖親しみ、このバランスこそが重要です。
だからこそイラストは補助線として使うのが良いでしょう。イラストが主役になると、どうしても”ゆるい”印象が強まります。税務では理解を助ける補助線として扱うのが鉄則だといえます。
良い使い方
・複雑な概念を図解化
・Before/Afterの比較
・業務フローの可視化
避けたい使い方
・キャラクターを前面に出し、しゃべらせるものを多用
・イラストだけで説明しようとする
・かわいさが主役になるような構成
イラストというとキャラクターを作って、それに説明させる、というものを想像しがちです。しかし税理士事務所で使うイラストは、あくまでも補助的な存在です。注意したいのはキャラクターが感情豊かすぎると、軽く見られやすいこと。キャラクターは感情ではなく状況を表すものだと認識していただきたいですね。
例えば、次の2枚のイラストを見比べてみましょう。


同じようなイラストに見えますが、1枚目は困っている社長のイラスト、2枚目は書類を前に考えている社長のイラスト、です。1枚目は感情を表現しているのに対し、2枚目は状況を表しています。感情を優先させるとキャラクターだけに目が活き、よりポップな印象を受けてしまいます。感情より状況を描くと、専門性と親しみのバランスをとることができます。
そして、イラストだけに頼り切らない、ということもポイントです。
もちろんイラストが柔らかいのに文章が固すぎると違和感が出てしまいます。しかし文章が柔らかすぎると信頼性が落ちてしまいます。専門性を発揮しつつ、優しい文章で統一することが必要です。
専門性:事実・根拠・数字はしっかり表現する
親しみ:語尾やたとえ話で柔らかさを表現
※過度なキャラ口調は使わない
このバランスをしっかりとることで、文章とイラストの相性がよくなります。
そのうえで、写真とイラストを使い分けていく、というやり方も効果的です。
写真→信頼・実在性
イラスト→親しみ・理解促進
併用→話しやすい専門家
特に税務の世界では、イラストと写真の併用こそがかなり効果的だと思える理由です。
特に図解やフロー図、概念図などをイラストで表現できるのは、プロフェッショナルの証でもあります。
イラストをどこで、どうやって使うか
税理士事務所でイラストを使う有効性については伝わりましたでしょうか? 次に、どういったシーンで使っていくか、について考えてみましょう。
まず使いやすいのはHPなどですね。税理士事務所のWebサイトは似たデザインが非常に多いのです。どこの事務所を見てもほとんど構成は同じで、文字だけが違う。そのためパット見た瞬間だと、どこの事務所かわかりません。これはつまり、お客様にとってもHPの印象がほとんどない、ということでもあります。
しかしイラストを使うと、瞬間的に記憶されます。また、SNSなどでは文章で長々説明しても、ほとんど読まれることはありません。しかしイラストで図解すると、圧倒的に拡散されやすくなります。
それだけでも競合する他事務所に対し大きな差別化をすることができるのです。
さらにイラストは採用にも効果があります。
求職者、特に若い人材は「働きやすさ」や「雰囲気」を重視します。
イラストは事務所の文化を視覚的に伝えることができます。堅すぎない、優しい、という印象は確実に応募数を増やす効果があるのです。そのため採用ページなどで使えば、離脱率を下げることも可能ですね。
イラストは手の届く場所にあります
ただ、税理士事務所でイラストを、となると必要なイラストをどこで用意すればいいんだろう、と思う人も多いでしょう。もちろんイラストレーターやデザイナーに発注すれば簡単です。しかしプロに依頼するとけっこうなコストがかかってしまいます。
HPなどのように何年も使うものであれば、それだけの費用をかける価値もあるでしょう。しかしお客様に説明する際の資料などに使うとなれば、いくつものパターンが必要になり、使用枚数はけた違いに増えていきます。それをいちいちプロにお願いしていては、いくらお金があってもたりません。また、忙しい税理士事務所の所長が、一からイラストを学び、専用のソフトを購入して、というのは論外でしょう。
そこでお勧めなのがAI に頼むこと。
ここでのAI は、「税理士事務所でAI を導入し業務を効率的に」というようなものではありません。一般的に使われているような、いわゆる汎用AI で十分です。最近のPCにはAI は最初から搭載されているものもい多いですね。実際、私がこの記事で使っているイラストは、AI によって作成しています。
私はCopilotを使用していますが、そこに「損益分岐点を説明するイラストを作って」と入力すれば、ベースとなるイラストが1分もかからずにできてきます。そこから少しずつバランスなどを見て、修正の指示をしていきます。出来上がるまでに5分くらいでしょうか。それくらいでできてしまうのです。キャラクターも、表情をこうして、服装はこれで、など指定すればその都度調整をしてくれます。
難しい操作は必要ありません。文章で指示するだけで十分なのです。
イラストは費用と手間がかかるため、個人の税理士事務所では使うのは難しかったのですが、AI の発展により、イラストは簡単に使えるツールになっているのです。さらにうまくイラストを使えば、事務所の武器になるのです。
見出しの横の小アイコンや、説明資料の冒頭のワンカット、などに同じようなイラストの使用をルール化すると「あ、この人の資料だ」と一瞬で伝わります。これがブランドとなります。
このように税理士事務所✖イラストは、使い方を間違えると軽く見られてしまいます。
しかし、正しく使えば「専門性を保ちながら、圧倒的に伝わる」という表現手段です。実際にイラストを導入した事務所では、
・問い合わせの数が増えた
・採用ページからの応募が増えた
といった効果も出ています。
税理士事務所でイラストを使うメリットは、非常に大きいのです。
実際にイラストを使った事務所の紹介の作り方を知りたいかた、さらに踏み込んでイラストをさらに効果的に使う方法を知りたい方は、まずは無料相談からお気軽にお声をおかけください。
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