税理士事務所の業務効率化に効く!ITツール徹底ガイド【2026年最新版】
- 斉藤永幸
- 1月16日
- 読了時間: 12分

なぜ今、ITツールなのか
私が様々な事務所を訪問し、感じることは、ITの格差です。それがそのまま経営力の格差に直結しています。ある事務所ではAIを導入し、様々なITツールを駆使して非常に効率的な運営を行っているのに対し、ある事務所ではいまだにクラウド会計の導入で迷っていたりします。
この二つの事務所を比べたとき、生産性という意味では雲泥の差が生まれます。それも当然。ツールを駆使すれば1分もかからずに出来上がる書類が、人の手で一から作っていくとなると1時間以上かかる、ということもよくあることです。ツールを駆使している事務所では、その間に他の業務を進めることができ、さらに差は大きくなっていきます。
さらに近年は人材不足、採用難が続いています。
人手に頼るだけでは、事務所の成長にどうしても限界ができてしまいます。さらにお客様の意識も変わってきています。中小企業でもクラウドは当たり前、AIを導入しているところも増えてきました。また、徐々にお客様は価格ではなく価値を重視するところが増えています。単に”安い”というだけでは、お客様は満足しなくなり、どんな価値を提供してくれるか、が税理士事務所を選択する重要な要素となっているのです。
もはや税理士事務所のIT化は待ったなし。
そこで今回は、税理士事務所にとって使いやすいツールを紹介していきたいと思います。
課題を解決するITツールの全体マップ
ITツールを導入する、といっても現場でどういう課題があるのか、を知らなければ有効なものを導入することはできません。だからこそ、まずは現場でよく起きる問題を整理し、課題を抽出。それを解決できるツールを選定しなければいけません。
顧問先ごとの対応が属人化
情報が散乱して探す時間が多い
月次・年次業務の進捗が見えない
書類管理が煩雑
コミュニケーションがメール中心で非効率
請求漏れ・タスク漏れが発生しやすい
こうしたものはすべてITツールで解決、もしくは問題を減少させることが可能です。
税理士事務所でよく使われるITツールにはこのようなものがあります。

改めて抜き出してみると、非常に数が多く、ITに関心のない方は初めて耳にするツールも多いでしょう。税理士事務所の方であれば、会計・税務のクラウド化に名前の挙がったfreeeやマネーフォワード、弥生オンラインなどは馴染みがあるかもしれませんが、他にもTKCや勘定奉行などもクラウドサービスを提供しており、他のカテゴリでも同じようにこれ以外でも非常に種類が多いのです。
ここから自分たちの事務所に合ったツールを選択するのは至難の業。
そこで簡単ですが、カテゴリ別にそれぞれのツールの特徴を見ていきましょう。
税理士事務所で有効な「情報共有・ナレッジ管理」ツール
Stock(ストック)
最も導入しやすく、税理士事務所との相性が抜群。「最もシンプルで、誰でも使える情報共有ツール」として開発されており、使い勝手は良いですね。
特徴
マニュアル・顧問先情報・タスクを一元管理
ITリテラシーが低いスタッフでも迷わないUI
顧問先ごとの情報整理に強い
「情報が乱立する」問題の解消に効果的
向いている事務所
小〜中規模
属人化が強い
まず“情報の置き場”を整えたい事務所
NotePM
ナレッジ管理に特化した強力なツール。税理士事務所の情報管理の重要性とともに、NotePMは特に、「わかりやすいマニュアル作成に最適」といえるでしょう。
特徴
マニュアル・手順書・法改正情報の整理に最適
事務所内のナレッジを体系化しやすい
検索性が高く、過去資料を探す時間を削減
向いている事務所
マニュアル整備を本格化したい
法改正対応の情報更新が多い
教育体制を強化したい
Notion
柔軟性が高く、情報・タスク・DBを一体化できる万能型。会計事務所のドキュメント管理にも有効です。
特徴
顧客DB、申告書管理、タスク管理を自由に構築
権限設定が細かく、顧客共有にも対応
ダッシュボードで業務全体を可視化
向いている事務所
カスタマイズして“自分たちの業務システム”を作りたい
情報・タスク・ワークフローを一元化したい
デジタルに強いスタッフがいる
📊目的別比較表
目的 | 最適ツール | 理由 |
情報共有の一本化 | Stock | シンプルで導入しやすい |
ナレッジ管理・マニュアル整備 | NotePM | 検索性と構造化に強い |
情報+タスク+DBの統合 | Notion | カスタマイズ性が高い |
🔍 導入アドバイス
単純に情報共有のツールといっても、かなり特徴は異なります。
→ Stockで情報の置き場を一本化(情報共有)
→ NotePMでマニュアル整備(ナレッジ)
→ Notionで業務DB化(業務設計)
このように3つを役割分担させると、属人化 → 標準化 → 自動化 → 高付加価値化の流れが一気に進みます。
税理士事務所で有効な「書類管理・ストレージ」ツール
1. Dropbox
最も“動作が軽く、同期が速い”ストレージ。税理士事務所のように大量のPDF・Excelを扱う環境では安定性が強み。
特徴
同期スピードが速く、動作が軽快
フォルダ単位の共有が柔軟で、顧問先ごとに整理しやすい
共有リンクにパスワード設定が可能(セキュリティ強め)
弱み
無料容量が少ない(2GB)
有料プランは他よりやや高め
向いている事務所
大量の書類を扱う(有料版)
スタッフのITリテラシーに差がある事務所だと特に力を発揮
とにかく“安定して動く”ことを重視
→ 最もトラブルが少なく、現場で使いやすい。
2. Google Drive
共同編集と検索性が圧倒的に強い。Google Workspace を使う事務所なら最有力候補。
特徴
無料容量が大きい(15GB)
Googleドキュメント・スプレッドシートの共同編集が強力
Gmail・カレンダーとの連携がスムーズ
AI検索が優秀で、ファイル検索が速い
弱み
権限設定を誤ると「全世界公開」事故が起きやすい
Windowsとの親和性はOneDriveに劣る
向いている事務所
Google Workspace を導入している
顧問先とリアルタイムで資料を共同編集したい
検索性を重視したい
→ クラウドネイティブな事務所に最適。
3. OneDrive
Windows・Officeとの連携が最強。Microsoft 365 を使う事務所ならコスパも最高。
特徴
Windows 10/11 に標準搭載、操作が自然
Office(Excel・Word)との連携が圧倒的に強い
Microsoft 365 の1TBストレージがコスパ最強(Office付き)
SharePoint・Teamsと組み合わせると大規模運用に強い
弱み
同期スピードはDropboxに劣る
Google系サービスとの連携は弱い
税理士事務所との相性
Excel中心の業務
Microsoft 365 を契約している
Teamsで顧問先とやり取りしている
→ Microsoft環境の事務所なら最も自然に使える。
比較表
Dropbox | Google Drive | OneDrive | |
同期スピード | ◎(最速) | 〇 | △ |
共有のしやすさ | ◎ | 〇(強力だが事故注意) | 〇 |
無料容量 | 2GB | 15GB | 5GB |
セキュリティ | 強い | 情報権限に注意 | 強い |
Office連携 | △ | △ | ◎ |
Google連携 | △ | ◎ | △ |
コスパ | △ | ◎ | ◎(1TB+Office) |
税理士事務所との相性 | 安定性重視 | 共同編集重視 | Office中心 |
🔍 導入アドバイス
書類管理・ストレージのツールは、目的に合わせて使い分けるというよりも何を優先させるかで選択すると良いでしょう。
● 安定性・同期速度を最優先 → Dropbox
大量のPDF・Excelを扱う
スタッフのITスキルに差がある
トラブルを避けたい
● 共同編集・検索性を重視 → Google Drive
Google Workspace を使っている
顧問先とリアルタイム編集したい
● Office中心・コスパ重視 → OneDrive
Microsoft 365 を契約している
Excel・Teamsを多用する
このような視点で導入するツールを選択すると、間違いが起きにくいです。
また、規模で選ぶのも一つの手です。
例えば:
小規模・IT苦手 → Dropbox
中規模・Google活用 → Google Drive
中〜大規模・Microsoft中心 → OneDrive
なども参考にしてみてください。
税理士事務所で有効な「コミュニケーション」ツール
1. Chatwork
日本の中小企業・士業で最も使われている“シンプル特化型”。
特徴
UIが直感的で、ITが苦手なスタッフでもすぐ使える
顧問先も導入しやすい(アカウント作成が簡単)
タスク管理がシンプルで、税務の進捗共有に向く
メール文化から移行しやすい
弱み
外部サービス連携が弱い
大規模運用には不向き
向いている事務所
小〜中規模
顧問先のITリテラシーが低くても利用しやすい
とにかく“使いやすさ”を優先したい
2. Microsoft Teams
Office・SharePoint・OneDriveと連携し、業務基盤を統合できる“総合型”。
特徴
Excel・Word・Outlookとの連携が圧倒的に強い
会議・チャット・ファイル共有が一体化
OneDrive / SharePoint と組み合わせると書類管理が強力
セキュリティが非常に高い(Microsoft基準)
弱み
初期設定が複雑
ITリテラシーが低いと定着しにくい
向いている事務所
Microsoft 365 を契約している
中〜大規模で情報管理を統合したい
Webで顧問先とやり取りする文化を作りたい
3. Slack
スピード感と拡張性が高い“エンジニア文化寄りのツール”。
特徴
動作が軽く、通知・検索が優秀
外部サービス連携が強い(freee、MF、kintoneなど)
チャンネル設計で業務フローを整理しやすい
Bot活用で自動化が進む
弱み
日本の中小企業ではまだ浸透度が低い
顧問先がSlackを使っていないと導入が難しい
税理士事務所との相性
ITリテラシーが高い
業務自動化・API連携を進めたい
スタートアップ系の顧問先が多い
比較表
Chatwork | Teams | Slack | |
使いやすさ | ◎(最も簡単) | △(慣れが必要) | 〇(直感的) |
顧問先への導入しやすさ | ◎ | 〇 | △ |
ファイル共有 | 〇 | ◎ | 〇 |
外部連携 | △ | 〇 | ◎ |
セキュリティ | ◎ | ◎ | ◎ |
コスト | 〇 | ◎ | △ |
税理士事務所との相性 | 小〜中規模 | 中〜大規模 | IT強めの事務所 |
🔍 導入アドバイス
この3つのツールはけっこう特徴があるため、選択はしやすいですね。
・小~中規模で、顧問先も巻き込みたい→Chatwork
導入が簡単で、顧問先でも使ってもらいやすい
・Microsoft365を使っている→Teams
ExcelやWordとの連携が圧倒的に便利
・ITリテラシーが高く、自動化したい→Slack freeeやMf、kintoneとの連携が強く、スタートアップの顧問先と相性が良い
こうした特徴を踏まえ、導入するツールを決めましょう。
ただ、もっと使いこなしたい事務所の場合は「事務所内ツール」と「顧問先とのツール」に分けるのも一つの手です。
Teams(情報管理・書類管理)やSlack(自動化)を内部で使い、顧問先とのやり取りは簡単で使いやすいChatworkを使う、二層構造が実務では一番うまく回ります。
税理士事務所で有効な「業務管理」ツール
1.FLOW
税理士・社労士など士業向けに最適化された“総合型業務管理ツール”。
特徴
タスクの自動生成・自動通知(AIナビ)
月次・年次業務の漏れ防止に強い。
顧問先の生産性・採算性分析が可能
工数管理・レポート(日報)機能がある。
顧客管理項目を自由に定義できる
Excelや書面に散らばった情報を統合しやすい。
チャットワーク連携など、士業向けの機能強化が進んでいる
向いている事務所
中規模以上
業務量が多く、進捗管理を強化したい
工数管理・採算管理まで行いたい
タスク漏れを徹底的に防ぎたい
2.ZoooU
税理士事務所専用に作られた“属人化解消 × 情報一元化”ツール。
特徴
税理士事務所専用のUI・業務フロー
税務会計業務の構造的課題(情報分散・属人化)を解決する設計。
質問機能(掲示板形式)で回答漏れを防止
Chatworkでよく起きる「雑談混在問題(雑談と業務連絡が混ざる問題)」を解決する思想。
顧問先カルテで情報が一元化
顧客情報の更新が一箇所で完結。
書類管理(引き渡し期限設定など)
税務特有の“期限管理”に強い。
向いている事務所
小〜中規模
属人化が強く、情報が散乱している
顧問先とのやり取りを整理したい
まずは“情報の一元化”から始めたい
比較表
FLOW | ZoooU | |
タスク管理 | ◎ 自動生成・自動通知が強力 | ○ テンプレ化で再現性UP |
属人化対策 | ○ | ◎ 税務特化のUI・質問機能が強い |
顧客情報管理 | ◎ カスタム項目で柔軟に管理 | ◎ 顧問先カルテで一元化 |
書類管理 | ○ | ◎ 期限管理が可能 |
採算管理・工数管理 | ◎ 強い(分析機能あり) | △ |
外部連携 | ○(Chatworkなど) | △ |
導入のしやすさ | △(機能が多い) | ◎(税務特化で直感的) |
規模適性 | 中〜大規模 | 小〜中規模 |
🔍 導入アドバイス
これは目的に応じて選択するのが一番です。
・業務量が多く、進捗管理・採算管理まで行いたい→FLOW
・属人化をなくし情報を一元化したい→Zooou
また、規模適正で選択するのもいいかもしれません。
まずは業務管理をシステムとして導入したければZooou、より精密な管理をしたければFLOWということになります。
まとめ:多彩なツールから一つひとつ目的に合わせて選択
ここまで様々なツールを見てきましたが、いかがでしょうか?
今回の紹介は基本的に単機能のものがほとんどでしたが、ものによっては多機能のものがあります。例えばkintone 、MyKomon 、Salesforceなどはその代表的なものでしょう。これらは基幹システムとしてはもちろん、様々な機能があるので使いこなすことができれば多くの課題を一気に解決することができます。
一方で、すべての機能を使いこなすことは難しく、一つひとつ紹介するとそれだけでかなりのボリュームになってしまうため、今回は割愛しました。後日、この3つの比較を行いたいと思います。
また、TKCなどでは、単に会計ソフトというだけでなく、ツールとしての側面もあるため本来は機能の比較もしたいのですが……。TKCは業務モデル+指導体制+システムが一つの思想で一体化したプラットフォームなので「ツールを使う=TKC方式で事務所を運営する」ということになり、単純に比較することが難しいため、こちらも割愛させていただきました。
ただ、こんなに多くのツールがある中で、「結局うちの事務所には何が合うのか」ここが一番むずかしいところだと思います。実際、私がこれまで訪問してきた事務所でも、
ツールを入れたのに全然使われない
導入したけれど運用が続かない
そもそも何から手をつければいいか分からない
こうした悩みは本当に多いです。でも、これは事務所側の問題ではなく、“事務所の状態に合ったツール選定と導入ステップが設計されていない”ただそれだけなんですよね。だからこそ、もし今、
どのツールを選べばいいか迷っている
自分の事務所に合う形が分からない
そもそも何から始めればいいのか不安
そんな気持ちが少しでもあるなら、一度、気軽に相談してみてください。
あなたの事務所の規模、スタッフ構成、課題、理想の姿を伺ったうえで、最短で成果につながるツール選定と導入の道筋を一緒に描けます。
「ツール選びで失敗したくない」「効率化を本気で進めたい」、そんな方はまずは無料相談からご連絡ください。
次の一歩が、事務所の未来を大きく変えるはずです。
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