確定申告をきっかけに“顧問契約”につなげる方法〜単発依頼から継続支援への導線設計〜
- 斉藤永幸
- 1月28日
- 読了時間: 8分

1月も終わりを迎えようとしている今、多くの税理士事務所は確定申告に向けて準備を進めているところが多いでしょう。毎年のように訪れる繁忙期。ストレスもたまりますし、苦労も多いでしょう。
「単発依頼が増えると、正直しんどい」
「顧問契約につながらないから、毎年同じ負担が続く」
「でも断るわけにもいかない」
そんな思いを抱えている事務所も多いでしょう。しかし、成功している税理士事務所はこの確定申告をチャンスにかえ、成長の原動力としています。
その理由は、確定申告を”入口”と捉えているからです。
フリーランスや小規模事業者、小さな企業は普段の経理はそこまで複雑ではありません。そのため日々の経理は自分たちで行い、確定申告だけを税理士事務所に依頼する、というところも少なくないのです。こうした単発依頼が多いのですが、そうした経営者の中には”継続支援”が必要な人が多いのです。
ただ、そうした経営者に「顧問契約にしてはどうですか?」といっても、コストなどの負担の問題からなかなか踏み切ることはできません。顧問契約につながるかどうかは”提案の設計”にかかっているのです。
そこでこの記事では、確定申告をきっかけに、『自然に顧問契約に導く仕組み』を考えていきたいと思います。
1.単発依頼者の”本音”と”潜在ニーズ”を見抜く
そもそも、確定申告を単発で依頼してくるのはどんな人でしょうか?
フリーランスや小規模事業者、会社員だけど副業を持っている人、家族の収入が変化したり、相続などが発生した人、です。
こうした人は、とりあえず安く、楽に、確定申告を終わらせたい。それが表面的なニーズになります。この時、お客様が口にするのは自分で言語化できるもので、あくまでも作業ベースでの要望になります。
しかし、それとは違った悩みやニーズを持っています。フリーランスや小規模事業者、副業を持っている人は将来に対する不安を抱えている割合も高いですし、会社員で独立のタイミングをうかがっている人も多いでしょう。
これが潜在ニーズであり、”本音の不安”です。この継続的な不安を言語化し、ここにしっかりアプローチできるかどうかで、顧問契約につながるかどうかが決まります。
【表面のニーズ】
・申告を終わらせたい
・経費を知りたい
・書類の出し方を教えてほしい
・税額を知りたい
↓
(表面のニーズの奥にあるのが本音の不安)
↓
【本音の不安】
・毎年不安でつらい
・判断が合っているか怖い
・お金の管理に自信がない
・事業が成長して複雑化
・相談できる相手がいない
・税務以外の悩みもある
👉このように単発依頼者の表面ニーズと本音の不安にはギャップがあります。この“ギャップ”を埋めるのが顧問契約なのです。
2.顧問契約につながる”3つの導線設計”
では、実際にはどのようにして顧問契約へと繋げていけばよいのでしょうか?
そのためには3つの導線を設計することをお勧めしています。
① 提案タイミング:自然に受け入れられる“3つの瞬間”
単発依頼を顧問契約に切り替えてはどうですか、これを切り出すタイミングが重要です。タイミングをしっかり見ないと、お客様は単なる”営業トーク”としか受け取りません。しかし適切なタイミングで切り出すことで「自分には顧問契約が必要なんだ」とお客様は認知します。
🔹1. 確定申告完了後すぐ(安心感が最大化している)
→ 最も成約率が高いタイミング
申告が終わってホッとしている
税理士への信頼が高まっている
「来年もお願いしたい」という気持ちが生まれやすい
提案例「今回の申告で見えた課題を、来年はもっと早く解決できるように年間でサポートする形もご用意しています。」
🔹2. 申告中に“課題が見えた瞬間”
→ “単発では限界がある”ことを本人が自覚しやすい瞬間
書類が揃わない
経費判断が曖昧
収支管理が雑
相談が多い
提案例「この部分は毎年判断が必要になりそうなので、継続的に見守る形の方が安心かもしれません。」
🔹3. 初回面談時に“選択肢として提示”
押し売り感を出さずに“選べる状態”を作る
単発と顧問の違いを最初から明確にする
料金の透明性が信頼につながる
提案例「単発と顧問の2つの選択肢があります。状況に合わせて選んでいただければ大丈夫です。」
② 提案資料の構成:顧問契約が“必要に見える”設計
口頭で「顧問契約」を勧めるだけではどうしても弱くなります。顧問契約が必要だ、と思わせる”裏付け”となる資料を作成し、それを元に説明することで、お客様により顧問契約の必要性を強く印象付けることができます。
🔹1. 「あなたの場合、今後こういう支援が必要になりそうです」
個別化された提案が最も刺さる
“あなた専用の診断”に見える
課題を図解するとさらに効果的
例:課題の見える化(図解案)
収支管理
経費判断
税務イベント(年内のスケジュール)
将来の分岐(法人化・人を雇うなど)
🔹2. 料金・支援内容・連絡頻度を明示
顧問契約の“曖昧さ”をなくす
「何をしてくれるのか」が明確だと安心する
連絡頻度(毎月・隔月・必要時)を明示すると信頼度UP
🔹3. “選ばせる”スタイル(3プラン提示)
人は「選択肢があると決めやすい」
ベストは ライト/スタンダード/フル の3段階
※心理効果から真ん中のプランが最も選ばれやすい
例:プラン構成
ライト:相談中心
スタンダード:月次+相談
フル:経営サポート+税務全般
③ 心理設計:顧問契約を“安心の定期点検”として位置づける
お客様にとって単発依頼は”作業”をお願いするものです。しかし顧問契約はまったく違い不安に感じる方が多いでしょう。だからこそ顧問契約をお客様にとって安心して頼める、という心理設計を行うことで、顧問契約へのハードルを引き下げます。
🔹1. 「今後も安心して相談できる場を持ちませんか?」
顧問契約=“保険”ではなく“安心の場”
不安を抱えたままにしない価値を伝える
🔹2. 「税務以外のことも気軽に聞ける関係性を」
単発依頼者は“相談相手がいない”ことが多い
税務以外の悩み(価格設定・補助金・資金繰り)も多い
→ 顧問契約の価値が一気に高まる
🔹3. “顧問契約=安心の定期点検”というイメージ
車の点検と同じ
「問題が起きてから」では遅い
「定期的に見てもらう安心感」を強調
例え話:「税務も車と同じで、トラブルが起きてから修理するより、定期点検の方が安心で安く済みます。」
下の図は顧問契約につながる3つの導線をまとめたものです。

3.具体的な提案資料と提案トーク例
では具体的に、どのようにして顧問契約を提案すれば良いのでしょうか?
まずは提案資料ですが、これはテンプレートにしておくと便利です。
以下のような構成にするとお客様に伝わりやすいですね。
● 構成例
あなたの状況まとめ(図解)
今後起こりそうな税務イベント(時系列)
顧問契約のメリット(比較表)
プラン選択(ライト・スタンダード・フル)
● 図解案
「単発 vs 顧問契約の違い」
「税務イベントの年間スケジュール」
この資料を基に、実際に提案のトークを組み立てていきます。
例えば、
「毎年ギリギリで大変だと思うので、年間でサポートする形もあります」
「今回の申告を拝見して、今後も判断が必要な場面が増えそうです」
「税務以外の相談も増えてきているので、顧問契約の方が安心かもしれません」
切り出し方をあらかじめ決めておくと、自然と提案資料に意識を向けることができます。
<成約率を上げる“ちょっとした工夫”>
単発依頼から顧問契約にうまく結びついた事務所がやっている工夫です。
ちょっとしたことですが、効果的なので紹介します。
提案は“選択肢”として出す(押し売り感をなくす)
資料は紙 or PDFで渡す(後から見返せる)
申告完了後に“お礼メール+提案”を送る
<成功事例:単発→顧問につながったケース>
このような提案を行い、うまく顧問契約を獲得した事例は多いですね。
例えば、
・フリーランス → 法人化支援
売上が増え、経費判断が複雑化。法人化の相談が増えたため顧問契約へ。
・相続申告 → 資産管理サポート
相続後の不動産管理や節税相談が増え、継続支援が必要に。
・副業 → 節税・資金繰り相談
副業収入が増え、税金の見通しや資金管理の不安から顧問契約へ。
まとめ:確定申告は”信頼構築のチャンス”
単発依頼の多くなる確定申告は、事務所の負担も大きくストレスが増大します。そのため事務所によっては「断りたいけどしょうがないから請けている」といったところもあるようです。
しかし単発依頼者は”継続支援が必要な人”かもしれない、と捉え直すことで、事務所を成長させるチャンスにもなります。
うまく顧問契約に導くには、導線が重要。
提案のタイミング、資料、心理設計がポイントとなるのです。
導線をしっかり整えることで、確定申告は負担の大きい繁忙期から、忙しいけど事務所を成長させるチャンスの時間、に変えることができます。ちょっとした工夫で自然に顧問契約につなげられます。
繁忙期をひかえた今こそ、導線を整えるチャンスです。今回の内容をすぐに活かせるよう、提案資料テンプレートなども用意してあります。また、顧問契約につながるトーク例をまとめた資料もございますので、ご希望の方は無料相談よりお気軽にお声をおかけください。
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