事務所のシステム化は早めに手を付ける
- 斉藤永幸
- 11月8日
- 読了時間: 6分

近年では「お客様の経理の効率化支援としてDXの推進をサポートしています」などとうたっている税理士事務所が増えています。
しかしその内容は、単なるクラウド会計導入にとどまっている、というところが非常に多いのは残念です。
お客様の業務のフローや経理の流れなどを知る税理士事務所は、実はもっと広範なお客様のDX支援に最適なポジションにいます。
実際、自分の知っている税理士事務所は、クラウド会計の導入をきっかけに、勤怠管理などの人事・労務のシステム導入や社内コミュニケーションツールの導入、さらにITベンダーと提携関係を結び基幹システムの導入支援などまで業務の幅を広げています。
こうした支援を行うことで、さらにお客様の懐に深く潜り込み、契約解除などは考えられない、といった状況になっているといいます。
これは極端な例かもしれません。
しかし数字を扱う税理士事務所の業務は、ITシステムと相性がいいことは間違いありません。
ただ、ITシステムというと難しい、と感じる人も多く、実際小規模な税理士事務所では、ほとんどシステム化されていないといってよいでしょう。
だからこそある程度の段階で税理士事務所自体をシステム化する、いわば自社のDXに取り組まなければいけないのです。
税理士事務所はどのタイミングでシステム化を目指すべきか
とはいえシステム化にはハードルが高い、と感じている人も多いのも事実。
そこで問題となるのは、どの時点でシステム化をはじめるのが最適なのでしょうか?
自分としては事務所の総勢が5名を超えたら取り組むべき、と考えています。
その理由は、早い段階で取り組めば、後から楽になるからです。
ただ、システム化といっても様々です。
そもそも企業などに導入されているシステムなどは、複雑・高度なものが多く、必然的に導入費用も莫大なものになります。
ちょっとしたシステムを導入するだけでも数百万円かかった、というケースも。
しかし近年は非常に使い勝手の良いサービスなどが増えています。
中には初期費用は無料、というサービスも。
実はシステムの導入における、近年急激にハードルは非常に低くなっているのです。
そうしたサービスでは、1ユーザーごとの課金が多いため、スタッフ数が少ない段階なら、毎月のランニングコストも低く済むのです。
そして早めの導入をお勧めする理由としては、まだそこまでフローが複雑になっていないことです。
業務のフローやお客様が増えればそれに対応するために複雑になりがちですし、日報などの記録などは年々蓄積していきます。
人数が増え、それぞれの仕事のやり方が生じてしまってから、それらを統一し一元管理するようなシステムを作るのは大変です。
どんなシステムにするのか、要件をまとめるだけで大仕事になってしまうのです。
しかし早い段階なら人数も少なく、その分取りまとめなければいけない意見も少なくて済みます。
導入後はシステムを前提に業務を組み立てることができるので、スタッフが増えた後はさらにスムーズに仕事に取り組むことができるようになるでしょう。
5名未満の場合は直接話し合い、記録も紙ベースでのやり取りで十分でしょう。
しかし5名を超えるとマネジメントの必要性も出てきますし、それぞれのPCに個別にデータなどが保存されているのは危険な状態です。
所内のガバナンスを高めるためにも、一元管理をする必要性が急速に高まってくるのです。
人材を育てるには時間がかかる
そしても最も大きな理由が、人材を育てるには時間がかかる、ということです。
税理士事務所は、ITにある程度詳しい人材がいると何かと重宝します。
HPの更新やブログの作成、お客様へのお知らせメールの送信など、小規模な事務所では所長が一手に引き受けている、というところも少なくありません。
このITに関連した業務を、できればスタッフに引き継いでもらうのが効率的なのですが、ほとんどの事務所では一人ひとりがお客様を持ち、担当業務だけで手いっぱいなのが現状ではないでしょうか。
そしてITの知識を持った人材を都合よく採用できる、という確率はかなり低いでしょう。
税理士事務所は、所内のITについてある程度面倒を見ることができる人材を育てる必要があるのです。
そうした余裕が出てくるのが総勢5名を超えるタイミングです。
それ以下の人数ですと、ちょっとでも戦力が減ると業務が回らなくなることも多いでしょう。
しかし5名を超えてくると、そのうち1名の担当件数を少し減らしても、他のスタッフに分散することでカバーできるのです。
何もスタッフに、ITの専門家になれ、というわけではありません。
担当件数が25件のスタッフに、担当件数を15~20件に減らし、その分システムについても任せられる状況にもっていくのです。
近年のシステムは非常に使いやすく、ITに関する知識がそこまでなくても使えるようになります。
若い世代は特に、生まれて物心ついたときにはITが浸透している、いわばITネイティブです。
そうした人であれば、ちょっとネットを見ながらやり方を覚えるだけで、使いこなすことができるようになるでしょう。
そうした人材がいれば、まずはシステムの導入から携わってもらい、徐々にHPの作成やドメインの管理など、徐々に業務の幅を広げていってもらうのです。
そのころになれば、事務所も徐々に成長し、さらに業務は複雑になるかもしれません。
しかし、しっかりと経験を積んでいれば、システムを拡張するなどで対応でき、それをそのスタッフに任せることができるのです。
いきなり複雑なシステムの管理などは任せることは難しいでしょう。
しかし早い段階でシステムの導入に取り組めば、単純なものから徐々にシステムは拡張。
それに合わせて所内のスタッフにもノウハウが蓄積されていくのです。
人を育てるには時間がかかります。
だからこそ早めにITをある程度使える人材を育て始める必要があるのです。
そしてシステムの導入による効果は、小規模な事務所ほど劇的です。
人が多ければ、雑務などを任せる人材を雇う余裕もあるでしょう。
しかし小規模な事務所では、まずはしっかりお客様に対応できる人材こそが重要。
だからこそ雑務などを大幅に減らせるシステムは、小規模な事務所ほど重要なのです。
自分自身、ITにはそこまで詳しくありません。
しかしネットで検索しながら、様々なシステムで効率化を進めています。
これをすべて紙や手入力でやろうと思ったらパンクしてしまいます。
小規模な事務所ほどシステムで省力化、これが正しい選択しだと思います。
システムの詳細などは自分もそこまで詳しいわけではありません。
しかし事務所にとって有益なのはわかりますし、自分の経験でよければいくらでもお話しさせていただきますし、その中でアドバイスできることも多いでしょう。
興味を持っていただけましたら、まずはお気軽にこちらよりご連絡ください。



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