会議しても改善しない…その原因は“ボトルネック”にある――事務所の成長を止める“見えない詰まり”の見つけ方
- 斉藤永幸
- 1月9日
- 読了時間: 8分

1.症状:成長が止まるのは「能力不足」ではなく「詰まり」
最近、よくこんな声を聞きます。
スタッフを増やしたのに、なぜか売上が伸びない。
毎月忙しいのに、成果がついてこない。
新しい仕組みを入れても、なぜか現場が回らない。
実際、多くの税理士事務所が説明できない停滞に悩んでいます。これを何とかしようと、
忙しいのに成果が出ない
人を増やしても負担が減らない
会議をしても改善しない
そんな症状に覚えのある方も多いのではないでしょうか。
しかもこの状態を「スタッフの能力不足」や「人手が足りないせい」と考えてしまうと、問題はいつまでも解決しません。スタッフには余計なストレスがかかって離職につながってしまったり、求人を繰り返し採用コストがかさんでしまったりして迷走してしまうこともあります。
この”説明できない停滞”の原因、それは—
“見えないボトルネック(詰まり)” です。
このボトルネックは、
・心理
・構造
・コミュニケーション
の3つの領域に潜み、気づかないうちに事務所の成長スピードを奪っていきます。
しかも厄介なのは、現場の声を聞いても、このボトルネックは見つからない ということ。表面に出てくるのは「月次が遅い」「ミスが多い」「退職が続く」といった“症状”だけで、本当の原因はその裏側に隠れています。
本記事では、事務所の成長を止める“見えない詰まり”をどう見つけ、どう改善の起点をつくるかを、具体的な観察ポイントとチェックリストを使いながら解説します。
読み終える頃には、あなたの事務所のどこに“詰まり”が潜んでいるのか、そして何から手をつければ成長が再び動き出すのかが、はっきり見えるようになります。
2.原因:税理士事務所に潜む“見えないボトルネック”とは
税理士事務所の成長を止めてしまうボトルネック。その見えないものが潜むのは主に3つの領域です。
1. 心理的ボトルネック
一見すると業務とは関係なさそうに見えますが、実は事務所の停滞に最も大きく影響するのが”心理”の詰まりです。
任せられない
聞きづらい
判断できない
情報を出さない(顧問先)
→ 心理の問題は表に出にくく、本人も自覚していないことが多いため、最も気づきにくいボトルネックといえます。
2. 構造的ボトルネック
次に、事務所の”仕組み”そのものに原因があるケースです。
業務フローが属人化
月次の締めがバラバラ
情報共有の仕組みがない
→ こうした構造の穴は、どれだけ優秀なスタッフがいても埋まりません。仕組みが弱いと事務所の成長は必ず止まります。
3. コミュニケーションのボトルネック
最後は、日々のやり取りの中に潜む”ズレ”です。
所長とスタッフの認識ズレ
顧問先との連絡が遅い
相談が“後回し”になる文化
→こうした小さなズレが積み重なると、気づかないうちに大きな遅延やミスを生む原因になります。
3.特徴:ボトルネックは“現場の声”では見つからない理由
こうした問題が起きているなら「なぜ私に相談しない?」と思う所長やマネージャーもいるでしょう。しかしボトルネックが現場からの声では見つかりにくい理由があるのです。
スタッフは”問題の原因”ではなく”困っている現象”しか言えません。また、所長や上司に遠慮して”本音”を隠してしまいます。そもそも現場で働くスタッフは、問題の構造を理解する視点がありません。
その結果、症状に隠れ、原因となるボトルネックを見つけることができないのです。
問題は“表面化した症状”として現れる
月次が遅い
ミスが多い
退職が続く
→ 症状の裏に“本当の原因”が隠れている
4.発見:ボトルネックを見つける“5つの観察ポイント”
事務所の成長を止める”詰まり”は、現場の声やアンケートでは見つかりません。
では詰まり=ボトルネックを見つけることはできないのでしょうか?本当のボトルネックは、日々の業務の中に静かに潜んでいます。だからこそ重要なのが「どこで、何が、なぜ止まっているのか」を観察する視点です。
次の5つのポイントを意識して現場を見渡すことで、”見えない詰まり”が少しずつ輪郭を持ち始めます。
1. 仕事が止まる場所
誰の机で止まるのか
どのタイミングで詰まるのか
どの案件が遅れやすいのか
2. 判断が必要になる場面
判断が属人化している
判断基準が共有されていない
→ 判断の詰まりは成長を止める最大要因
3. 連絡・確認の往復回数
顧問先とのやり取りが多い案件
所内で確認が多いスタッフ
→ コミュニケーションの摩擦が詰まりを生む
4. スタッフの“ため息ポイント”
面倒
不安
自信がない
→ 心理的負荷が高い場所は必ず詰まる
5. 所長が“気になる”と感じる場所
違和感は重要なシグナル
数字よりも“感覚”が先に反応することが多い
※この記事の最後に“見えないボトルネック発見チェックリスト”を用意しています。詳細にチェックを行いたい方は、チェックリストをダウンロードの上ご利用ください
5.解決:ボトルネックを解消するための“改善アプローチ”
ボトルネックが見えてきたら、次に必要なのは「どう改善するか」です。ここでは、心理・構造・関係性という3つの詰まりに対応する具体的なアプローチを紹介します。
1. 仕組み化(構造の詰まりを解消)
業務が属人化していたり、フローが曖昧なままでは、どれだけ人を増やしても成果は伸びません。まずは業務の流れを”誰でも回せる仕組み”に整えることが重要です。
※過去記事『税理士事務所の属人化から抜け出す実践ガイド』もご参照ください
標準フローの整備
→月次業務や顧問対応など、業務の流れを明文化する
チェックリストの導入
→抜け漏れを防ぎ、業務の質を安定させる
テンプレート化
→書類・連絡・報告のフォーマットを統一し、判断の手間を減らす
2. 心理的安全性の確保(心理の詰まりを解消)
スタッフが「相談しづらい」「ミスを恐れて動けない」状態では、業務は止まります。心理的な詰まりを解消するには、“安心して動ける環境”をつくることが不可欠です。 心理的安全性が高まると、スタッフの動きが一気にスムーズになりますよ。
相談しやすい文化づくり
定期的な1on1の実施
ミスを責めない仕組み
3. コミュニケーション設計(関係性の詰まりを解消)
連絡の遅れや認識のズレは、業務の遅延やミスの原因になります。コミュニケーションの“ルールと仕組み”を整えることで、関係性の詰まりは必ず改善できます。
連絡ルールの明確化
→どの連絡を、誰が、いつ、どの手段で行うのかを決める
相談の優先順位
→どの相談をすぐに対応するべきか、判断基準を共有する
顧問先との情報共有方法
→資料提出のフォーマットやタイミングを統一する
6.ボトルネックが解消されると何が起きるか
ボトルネックが解消されると、効果はかなり劇的です。
まずは一つひとつの業務が早く、そして正確になります。スムーズに働ける環境が整うのです。その結果、月次や決算などの業務の質が高まり、お客様満足度も高まります。
また、スタッフも「自分で考えて行動」するようになり、自然と成長に取り組むようになりますね。
つまり、 成長が再び動き出す、のです。
こうしたボトルネックの詰まりは、ほとんどの事務所に存在します。
税理士が独立・開業して最初にボトルネックの詰まりで成長が止まるのは、だいたいがスタッフ数5名くらいになった段階ですね。それまでは一緒に事務所を立ち上げた”同志”の集まりが、徐々に人が増え、以心伝心が通じなくなってくるのです。この段階でコミュニケーションのボトルネックによる詰まりが発生します。
ここを乗り越えると、10名前後になった段階で次のボトルネックが発生することが多いですね。ここで問題となるのは属人化などが原因となる構造的ボトルネックです。これ以上成長するためには組織化を進めなければいけません。しかし業務の品質などがバラバラでは非常に効率が悪いのです。
そして次に来るのが心理的ボトルネックです。所長は現場から距離を置き、マネージャーなどが複数で管理する体制になってくると、権限移譲などが重要になってきます。逆に言うと、ここを乗り越えることができると中小税理士事務所から大規模な税理士事務所の扉が開くのです。
事務所の成長段階でよく見られる詰まり
5名前後:コミュニケーションの詰まり
10名前後:構造の詰まり(属人化)
15〜20名:心理の詰まり(権限移譲)
こうしたボトルネックは、観察や仕組み化で解消することができます。まずはボトルネックを見つけることが成長の再スタートとなるのです。
自分たちの事務所にどんなボトルネックが潜んでいるのか。
それを確認できるチェックシートを用意しました。
興味のある方は参考にしてみてください。
詰まりが見えると、改善は必ず進みます。もし自分たちだけでは見つけづらいと感じたら、気軽に無料相談からお声をおかけください。
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