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税理士事務所の月次が終わらない理由と解決策【属人化をなくす4つのポイント】


終わらない月次業務に披露しているスタッフのイラスト
月次業務の負担が増大しているのは、属人化が原因というのがほとんどです


なぜ月次業務はいつまでも属人化するのか


多くの事務所が抱えている悩みの中でけっこう深刻なのが「月次業務」に関することです。

私に寄せられるものだけでも、月次が終わらない、という声はかなりの数になります。かなりの割合で、月次に問題を抱えている事務所があるのではないでしょうか? ただ、これまで1000以上の税理士事務所を見てきた中で感じるのは、月次が終わらない理由のほとんどは『属人化』が原因です。


□ 資料収集が毎月遅れる

□ 仕訳判断が人によって違う

□ 月次レビューが属人化している

□ MASと月次がつながっていない


3つ以上当てはまれば「属人化」が進んでいる状態です。

そして属人化は”能力の差”ではなく”仕組みの差”から生まれる、ということです。


そうした属人化が進んでいる事務所では、次のようなことが起こります。


  • ベテランは経験で判断できる

  • 新人は判断基準が分からない

  • 所長は「誰がやっても同じ品質にしたい」と思っている

  • 職員は「人によって言うことが違う」と感じている


このように事務所の規模の大小にかかわらず、所長とスタッフ、そしてスタッフ同士の間でも少しずつギャップが生まれます。このギャップが積み重なると、月次業務は人によってバラバラになり、それを管理・監督する所長やマネージャーの業務も複雑化していきます。その結果、所長もスタッフも疲弊していくのです。


しかしこの月次業務は、仕組み化すれば必ず軽くなる業務です。

その第一歩が”属人化ポイントの見える化”です。



月次業務の属人化ポイント


実はこの月次業務の効率化=属人化が起きやすいポイントは、多くの事務所でほぼ共通しています。まずはそこの部分のチェックをしてみましょう。次の4つはどの事務所でも”問題が起こりやすい”部分です。


① 資料収集のバラつき

  • お客様によって提出方法が違う

  • 担当者によって催促の仕方が違う

  • 必要資料の基準が統一されていない

資料が揃わないと月次は絶対に進まない。ここが最初の属人化ポイント。


② 仕訳判断の個人差

  • 勘定科目の判断

  • 消費税区分の判断

  • 事務所独自ルールの理解度

判断基準が言語化されていないと、職員の経験値に依存してしまう。


③ 月次レビューの基準不統一

  • どこまでチェックするか

  • 何を異常値とみなすか

  • どの資料を照合するか

“人によって見るポイントが違う”が最も大きな属人化要因。


④ MASへの連携タイミングが曖昧

  • 月次が終わった後にどう渡すか

  • どのデータを使うか

  • 所長の経営助言にどうつなげるか

月次とMASが分断されていると、経営助言の質が安定しない。



こうした課題に対して、どのように対処していくべきでしょうか。

ここでも属人化に対して有効なのはチェックリストです。チェックシートに沿って業務を進めていけば、自然と基準に則ったものになります。それが標準化です。問題はこのチェックリストの設計です。

チェックリストは「作ればよい」というものではありません。むしろ、“どう作るか”で事務所の生産性が大きく変わるツールです。このチェックリストの設計方法について、解説していきましょう。


📄 月次属人化ゼロのチェックリスト(無料DL)

記事で紹介した内容をそのまま使えるWord版です。今すぐ使いたい方はこちら。



月次業務のチェックリストを設計


月次業務のチェックリストを作るうえでポイントになるのは、大きく分けて3つあります。

順番に見ていきましょう。


① チェックリストは“作業手順”ではなく“判断基準”を書く

悪い例:

  • 売上を入力する

  • 領収書を確認する

良い例:

  • 売上の前年同月比が±10%以上の場合、理由を確認する

  • 領収書の摘要が不明な場合は○○のルールに従う

判断基準が書かれていないチェックリストは、属人化を解消できない。


② チェック項目は“迷うポイント”から作る

現場でよく見るのは、「本当に迷うところが書かれていないチェックリスト」です。

これではチェックリストの意味は半減どころか、ほとんど失われてしまいます。

  • 仕訳の揺れが出やすい科目

  • お客様ごとに注意すべきポイント

  • 過去にミスが多かった部分

→チェックリストで 迷いが消えると、業務スピードは一気に上がる。


③ 運用ルールを決めないと形骸化する

  • どのタイミングで使うか

  • 誰が更新するか

  • 変更点をどう共有するか

チェックリストは“事務所の資産”なので、更新ルールが必須。


このような点に注意しながらチェックリストを作成していきます。


※月次属人化ゼロのチェックリスト(無料DL)この記事で紹介した内容をそのまま使えるWord版を用意しました。



ただ、このファイルは広く一般的なものになっています。今回は修正などをしやすいように、Word 形式のファイルにしていますので、あなたの事務所の業務内容や現場の状況などに合わせてアレンジをしていってください。


<自分たちでチェックリストを作るのは難しい、といった際はこちらの無料相談もご利用いただけます>



AI を使った月次レビューの効率化


ここまでで月次の属人化はだいぶ解消できるのですが、さらにもっと踏み込んで月次業務を効率化させるにはどうすればいいのか、ということを検討していきたいと思います。

この月次業務で非常に役に立つのがAI です。

AIは「月次業務の標準化」と特に相性が良いです。属人的な環境下ではルールが統一されず、判断がバラバラです。それではAI は力を発揮できません。しかし属人化を解消し、標準化が進めば進むほどAI は効果を発揮します。特にレビュー肯定は、AIが得意とする領域が多くあります。


AIが得意なレビュー

AIが不得意なレビュー

・売上・経費の異常値検出 ・前年同月比の変動理由の仮説出し

・仕訳の揺れの検出

・勘定科目の分類案の提示

“気づきの漏れ”を防ぐのがAIの強み。

・事務所独自ルールが多い判断

・お客様の事情を深く理解した判断

・曖昧な基準での判断

AIは万能ではない。判断基準が曖昧だと誤答が増える。


こうしたことを踏まえ、AI を導入し、スタッフが使いこなせる環境整備を進めることで、月次業務の負担は大きく軽減することができます。


例えばAIが異常値の検出で活用すると、このような回答があります。


【売上高】前年同月比 +18%

・新規顧客の増加があった可能性

・単価の見直しが行われた可能性

・季節要因による繁忙期の影響

【通信費】前年同月比 -35%

・契約プランの見直し

・固定電話の廃止

・オンライン会議ツールの利用減少

【雑費】前年同月比 +42%

・備品購入の集中

・事務用品のまとめ買い

・分類ミスの可能性(他科目にすべき取引が混在)


AI は「仮説」を出すのが得意です。最終判断は人が行う前提で使うと非常に効果的です。

また、仕訳の揺れチェックなども以下のように回答があります。


【揺れの可能性がある取引】

・「Amazon購入」→ 消耗品費/雑費/会議費で処理されている

・「ガソリン代」→ 旅費交通費/車両費で揺れ

・「オンラインサービス」→ 通信費/支払手数料で揺れ

【統一案】

・Amazon購入:原則「消耗品費」、例外は備考で判断

・ガソリン代:車両費に統一

・オンラインサービス:通信費に統一


AIは”揺れの指摘”が得意です。この指摘に応じて事務所ルールに合わせて最終判断するのがポイントです。


このようにAI の回答をレビューの補助として使うと、月次業務は非常に効率的になります。

ただ、AIの回答をそのまま採用して良いケースと、そのまま採用してはいけないケースの判断基準も明確にしておくと、スタッフが迷わずに済みます。


■ AIの回答を採用してよいケース

  • 数値の変動理由が“一般的な仮説”で説明できる

  • 仕訳の揺れが明らかに事務所ルールとズレている

  • 異常値の指摘が事実と一致している

AIは“漏れ防止”として使うと最強。


■ AIの回答をそのまま採用してはいけないケース

  • 顧客の事情を知らないと判断できない内容

  • 事務所独自ルールが絡む判断

  • 「理由の仮説」が顧客の実態と明らかに違う

AIは“判断”ではなく“気づき”を出すツール。


ここまでできれば、かなり月次業務の負担を減らすことができるでしょう。

さらにAI を活用し、月次業務✖MASの連携でさらに事務所のサービスの質を上げ、収益性を高めることも可能です。

多くの事務所で月次とMASは分断されているところが多いのですが、この2つをつなげるだけで経営助言の質が大きく変わります。


<月次業務でのAI 活用でお困りの際は、こちらの無料相談からお問い合わせください>



MAS会計と月次業務の連携で何が変わるか


MAS会計は経験や知識が必要となるため、事務所によっては月次を担当するスタッフとMAS会計を担当するスタッフが別々に分かれていることもよくあります。しかしMAS会計のベースとなるのが月次業務なので、ここを安定させることでMAS会計の効果を大きく高めることができます。


① 月次→MASの流れが標準化されると、助言が安定する

  • 月次の数字が安定する

  • MASの分析が正確になる

  • 所長の助言がブレなくなる

数字の一貫性が、助言の質を決める。


② 入力ルールを統一すると二重管理がなくなる

  • 月次とMASで科目が違う

  • 入力基準が違う

  • どちらの数字が正しいか分からない

ルール統一は、職員の混乱を大幅に減らす。


③ 経営助言の質が上がると、職員のモチベーションも上がる

  • 職員が「自分の仕事が経営に役立っている」と実感できる

  • 事務所全体の一体感が生まれる

月次とMASの連携は、組織づくりにも効果がある。



まとめ:月次業務は仕組み化で軽くなる


月次業務が大きな負担になっている事務所は、属人化が原因です。だからこそ属人化を防ぐ”仕組み化”を導入できれば、負担はどんどん軽くなります。

重要なのは以下の4点。


  • 属人化ポイントを見える化する

  • 判断基準をチェックリスト化する

  • AIでレビューの漏れを防ぐ

  • MASと連携して経営助言の質を上げる


これを整えるだけで、月次業務は「人に依存する仕事」から「仕組みで回る仕事」に変わります。そして何より、スタッフが安心して働ける環境が整い、事務所の所長は経営に集中できるようになるのです。


ただ、属人化を解消といっても、なかなか自力では難しい部分があります。また、AI やMASとの連携は専門的なアドバイスが必要となるシーンも多いでしょう。TaxOffice-Supportでは、属人化の解消やAI 導入などのサポートも行っております。

月次業務の負担が重すぎる。そう感じた方は、まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。




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