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2025年11月の景気動向調査

景気の動向を表すろうそくチャートの図
景気は6か月連続で改善傾向が続いています

お客様との会話で景気の話題は鉄板


税務会計業界は非常に安定しています。もちろんお客様の事業がうまくいかなければ売り上げなどは減るでしょう。しかし景気が良い時も、悪い時も、企業がある限り必要とされるのが税理士という仕事です。

ただ、近年ではお客様の帳簿をつけ、申告書を作成しているだけではなかなか満足していただけない時代に来ています。お客様の事業をしっかり理解したうえで、時には今後どうしていくべきか、というアドバイスを求められることもあります。そんな時、必要になってくるのが景気の動向です。

正確さを求めるのであれば、全国的な景気動向、業界ごとの景気動向、そしてお客様のいる地域の景気動向、と3つくらいの情報を頭に入れておきたいところです。しかしそれが負担になってしまってサービスがおろそかになっては本末転倒です。まずは全国的な景気動向についてチェックしていくことが第一歩となります。


景気の動向調査は公的なものから私的なものまで、様々な機関、企業が発表しています。その中で私がよく使うのは、内閣府の景気ウォッチャー調査や、帝国データバンクの景気動向調査です。帝国データバンクは企業を専門とする言わずと知れた信用調査会社。公的機関の景気動向調査などは、時に肌感覚の景気実感と乖離しているときもありますが、帝国データバンクの景気動向調査はかなり詳細な調査をしているのか、信頼性が高いと考えています。

12月3日、この帝国データバンクが11月の景気動向調査を発表しました。



11月は改善傾向が続いた月


11月の日本の景気は、引き続き改善傾向にある、という調査結果です。

実際、10月は5年ぶりに5か月連続で景気が上向いています。11月に入ってからも、この傾向は続いている、といってよいでしょう。特に10月の調査では、10業界中9業界で改善し、『農・林・水産』の景況感は過去最高を記録しています。鶏卵価格の上昇に加え、米価の高止まりなどが生産業者にプラスに作用しました。また、食肉価格の上昇も見られ、景気を後押ししたと指摘しています。

また、一部自動車メーカーがけん引役となり、関連する業種へと波及しました。さらに9月以前からの不動産需要が景気を押し上げたほか、日経平均株価が史上初の5万円声を記録するなど、良好な投資環境が景気を下支えしています。

このように力強い景気の上昇を見せていた10月でしたが、11月は景気の上昇傾向は続いているものの、改善は緩やかになりつつあります。特に明暗が分かれたのは、小規模企業です。

10月は大企業、中小企業、そして小規模事業がそろって改善傾向が見られ、2025年で最高水準となっていました。しかし11月は大企業、中小企業の改善傾向は続いているものの、小規模企業は2か月ぶりに「悪化」しました。ただ、大企業は11月も設備投資に対して高い意欲を見せており、今後も堅調な改善が見込まれます。ただ、小規模企業では、需要の減少や建築資材の高騰で建設で悪化。それと連動する形で不動産も悪化をしています。



先行きに不透明感も


このように帝国データバンクの景気動向調査では、勢いは緩やかになりつつあるものの、国内の経済は力強い改善傾向にある、とみることができます。ただ、内閣府の景気ウォッチャー調査によると、11月の街角の景況感を示す現状判断指数は7か月ぶりに悪化、となっています。

特に中国政府による日本への渡航自粛要請を受け、観光業で訪日客減少を警戒する声が出ています。また、クマの出没により、東北の観光ホテルなどで予約のキャンセルが出ている、という指摘もあります。そのため観光業界の景況感については、注視していく必要があるでしょう。


ただ、全体を通してみると、小幅な変動を伴いながら、緩やかな持ち直しが続くと見込まれています。


全国の景気DIのグラフ
今後も比較的緩やかに改善傾向にあるものの、人手不足や政策金利の引き上げ、為替レートの変動、日中関係の不安定化には注目が必要です

特に、帝国データバンクの景気動向調査では、就任2か月目の高市政権に対する企業の期待する声が幅広く寄せられたとしています。実際、ポジティブな意見が5割を超え、不安視をする声はあるものにネガティブな意見は1割を下回った、としています。


ただ、注意したいのはやはり中国との関係です。近年では中国の国内経済自体にブレーキがかかっており、それに加え日本との関係悪化の原因がどこまで広がるか、については不透明です。12月初旬の現在、影響は観光業などに出ていますが、それが製造や金融などに波及することになれば、国内経済にも深刻な影響を与えます。

観光業のみならず、中国と取引のあるお客様を抱えている税理士事務所は、中国の動きをしっかり見守る必要があるでしょう。



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