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税理士事務所の財産、人的資本を意識していますか?

更新日:12月11日

人的資本と書かれた文字の上に並ぶ人の写真
そもそも人的資本って何だろう?という人も多いようです

人的資本って何?


近年、経営やマネジメントの領域でよく使われている「人的資本経営」という言葉。言葉からなんとなく意味がわかるけど、では具体的にそれって何?と言われるととっさに応えられない言葉の一つです。

しかし、すでに2023年から上場企業4000社に対し、有価証券報告書に人的資本情報の記載を義務付けました。企業活動をしていく以上、避けては通れない言葉の一つになってきているのです。


ではこの人的資本とは何か、というと能力やスキル、経験といった個人がそれぞれ備えている能力なども「資本」とみなすこと。これまで企業の資本というと、お金や不動産、商品などの物品などが挙げられるでしょう。しかし近年では、スタッフ一人ひとりの存在を資本とする考えが定着しつつあるのです。そのため多くの企業で人材採用に投資して、人材の価値を高め、中長期的な企業の成長戦略の一環として教育などにも力を入れるようになったのです。


ではどのようなものが人的資本に含まれるのでしょうか?


研修の実施状況

採用人数

人材育成の方針

従業員満足度

ダイバーシティ(多様性)の実現状況


このような「人」に関する領域のものはすべて対象となります。他にも税理士事務所では当たり前のように確認するであろうスキル、資格、さらには健康状態までも、人的資本を構成する要素になるのです。

こう聞くと、非常に範囲が広すぎてイメージがつかみにくいかもしれません。そこで参考になるのが、先ほどの人的資本の情報公開の項目です。



人的資本の公開項目


人的資本の公開に向策定された『人的資本可視化指針』では、7分野19項目の開示項目が挙げられています。これらの項目はあくまで例であるとされ、すべて開示する義務はないとされていますが、税理士事務所でも参考になるものなので紹介しておきます。


開示事項の例

育成

リーダーシップ

育成

スキル・経験

エンゲージメント

エンゲージメント

3

流動性

採用

維持

サクセッション

4

ダイバーシティ

ダイバーシティ

非差別

10

育児休業

5

健康・安全

11

精神的健康

12

身体的健康

13

安全

6

労働慣行

14

労働慣行

15

児童労働・強制労働

16

賃金の公平性

17

福利厚生

18

組合との関係

 7

コンプライアンス・倫理

19

コンプライアンス・倫理



こうしてみると、企業はもちろん、税理士事務所が取り組むべき所内の体制づくりに非常に役立つリストともいえるでしょう。つまり、これをチェックリストとして使用すれば、自分の事務所は社内環境の整備がしっかり進んでいるか、を確認することができるのです。



実際に人的資本を税理士事務所で活用するには


人的資本の情報開示義務化が対象となるのは上場企業です。税理士事務所などはその対象ではありません。ただ、これを利用しないのはもったいない、と考えています。うまく利用することで、他社との差別化などを行い、自分たちの事務所の特徴をお客様に伝えたり、採用などのシーンでも有効に活用することができます。


ではこの人的資本をどのように活用するのか、その第一歩は情報収集です。

所内のデータを収集・分析し、現状を把握します。この段階で、数値化・可視化できるものはまとめておきたいところです。これが将来に渡ってどのような変化があったか、などを比較することで分析・改善する基礎データとなります。


このデータを元に、まずは実現可能な目標を設定します。それに対し施策を実施し、どのような結果になったのか、を確認。その変化を記録しておきます。こうした取り組みなどをHPなどで公開することで、自分たちの事務所はこういう方針で運営しています、ということをお客様や求職者に広くアピールしていくことができます。


私が税理士事務所の採用をサポートしていて多く聞かれるのが、何をアピールしていいかわからない、というもの。実際話を聞くと、スタッフが働きやすい環境を作るため、いろいろとやりたいのだけど、何から手を付けていいのかわからない、というこえもありますね。

そんなときに非常に使い勝手がいいのが、この人的資本の考え方です。

これらの項目は社会的関心が高い事項です。つまりこの項目に沿って社内環境を整備し、それを求人などでアピールすれば、一定の効果を見込める、ということでもあります。


まずは人的資本について自分の事務所にどのように活用できるか、検討してみるところから始めてみてはいかがでしょうか?

何から手を付けたらいいかわからない、そのような場合はこちらからご連絡ください。



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