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“質の向上”を掲げる事務所ほど、なぜ現場が疲弊するのか~精神論で得られるのはリスクだけ~

業務の質を向上させ、徐々にステップアップしていく事務所のイメージイラスト
精神論ではなく、時間・コストを投資し、仕組み化することではじめて業務の質は向上します

「質の向上を目指します」 この言葉ほど、税理士事務所で誤解されて使われているものはありません。


多くの所長が今後の事務所の将来像について「拡大よりも質の向上を目指したい」という言葉を口にします。人材採用が難しくなり、人件費も上昇している現在、拡大路線はリスクが高い。新しい顧客を開拓しようと思ってもコストがかかる。そうなれば無理な拡大路線を選ばず、既存のお客様へのサービスを充実させたい、と考えるのは自然なことです。

ちょっと前までであれば「顧問先を増やしたい」「職員を増やしたい」という話が多く聞かれましたが、最近では「規模より質を重視したい」という考え方が増えているように感じます。


それ自体は問題ありません。

しかしちょっと気になることもあります。

それは「質の向上」という言葉が曖昧なまま使われているケースが少なくないということです。


少し厳しい言い方になるかもしれません。

ですが「拡大は大変そうだから現状維持で行きたい」という考えを「質の向上を目指す」と言い換えているだけのケースも見受けられます。「質の向上」という言葉が便利な逃げ道になっているのです。

もちろん拡大だけが正義ではありませんし、事務所の方針として現状維持を選ぶことも立派な経営判断です。

ただ、本当に質の向上を目指すのであれば、それに見合った行動が必要になります。

それがないにも関わらず、求人広告などで「うちの事務所は質の向上を目指しています」とうたってしまうことで、採用でも、組織づくりでも、現場でも、必ずと言っていいほど“ズレ”が生まれます。


今回は、この「質の向上」という言葉の正体を整理し、 税理士事務所が本当に品質を高めるために必要な視点をまとめました。



1.質の向上には時間・手間・コストがかかる


質の向上を唱えつつも、積極的な手段を採れないのには理由があります。

それは、質の向上には時間も、手間も、コストもかかるからです。


例えばスタッフ教育を充実させようと思えば研修の時間が必要になります。

属人化をなくすためにマニュアルの整備をしようと思えば作成する手間がかかります。

チェック体制を強化すれば業務時間が増えます。

ITツールやAIを導入するためには費用も発生します。


つまり、質の向上とは「何かを投入する」ことでもあります。

時間もかけず、手間もかけず、お金をかけずに業務品質を向上させることはほぼ不可能です。

質の向上には必ず投資が必要なのです。

むしろ、質の高い事務所ほど教育や仕組みづくりに多くの時間とコストを投資しています。

まずはこの現実を認識することが重要ではないでしょうか。


この認識を最初に持っておかないと、大きなリスクを呼び込むことになります。それが「精神論による質の向上」です。


▶一言まとめ 質の向上は“気持ち”ではなく“投資”で実現する。



2.精神論だけで押し切ろうとすることのリスクとは


業務品質を向上させたいと考えたとき、「もっと丁寧に仕事をしよう」「ミスをなくそう」「お客様のために頑張ろう」といった呼びかけが行われることがあります。

もちろん仕事に対する姿勢や意識は大切です。

しかし、”それだけ”で業務品質を向上させようとするのは危険です。

なぜなら品質は気合いや根性だけで維持できるものではなく、それを強要しようとすればするほど逆効果になることが多いのです。


例えば、ミスが発生した際に「もっと注意してほしい」と指導することはあります。しかしそのミスの原因が業務フローの問題や確認体制の不足にある場合、担当者の意識だけを変えても根本的な解決にはなりません。

しばらくは改善したように見えても、時間が経てば同じような問題が繰り返される可能性があります。


そして精神論に頼った業務品質向上は、スタッフへの負担も大きくなります。「もっと頑張ろう」「もっと気を付けよう」という要求が続けば、職員は常に緊張感を持って働かなければなりません。その結果、疲労やストレスが蓄積し、かえってミスが増えることもあります。

さらに、品質が個人の能力や責任感に依存する組織になってしまうと、人によるばらつきが大きくなります。優秀な職員が担当すれば高品質なサービスを提供できる一方で、経験の浅い職員では同じ水準を維持できません。これでは組織として安定した品質を提供することは難しいでしょう。


本当に業務品質を向上させたいのであれば、必要なのは精神論ではなく仕組みです。

マニュアルの整備、チェック体制の構築、教育への投資、情報共有の仕組みづくり、ITやAIの活用など、品質を支える土台を整備する必要があります。

もちろん、仕事に対する意識や責任感は重要です。しかし、それは仕組みを補強する要素であって、品質向上の中心ではありません。高い業務品質を実現している事務所ほど、「頑張る人を増やす」のではなく、「頑張らなくても一定水準の品質を維持できる仕組み」を作っています。


私はこれまで、何社も精神論が中心の業務改善を行っている事務所を見てきましたが、その多くが途中で破綻していました。

精神論に偏った業務品質の向上は、リスクを増やす以外の何物でもないのです。


▶一言まとめ 精神論は必要だが、仕組みがなければ必ず破綻する。



3.精神論に偏って破綻した事例


このリスクを認識していただくためにも、私が実際に見た事例を紹介したいと思います。


CASE1:お客様満足度を上げようとしたら、契約外業務でパンク

この事務所の所長は、お客様からの解約率が高い理由は、お客様の満足度が低いと考えました。そこでお客様満足度を高めるため、お客様からのご要望にできるだけ応えるように、とスタッフに徹底しました。


その結果、些細なことや、税務や会計と関係ないことの質問やお願い事が激増。

肝心のお客様満足度は、最初こそ増加したもののすぐに「それが当たり前」となってしまい、逆にちょっとでも対応が遅れればクレームとなってトラブルを招く原因にもなったのです。同時に、スタッフに過度な負担がかかってしまい、ベテランスタッフの離職で対応力は逆に減少。結局はパンクしてしまいました。

その後も契約外業務については断るように方針を転換しましたが、これに不満を持ったお客様が離脱。経営にも大きなマイナスとなってしまったのです。

実は、このパターンは規模に関係なく多くの事務所で起きています。



CASE2:スタッフに負担が集中した結果、属人化が進行

これも似たような事例ですが、お客様対応の良いスタッフに過度な負担が集中したパターンです。

お客様からの評価を高めるために、お客様からの受けが良い、知識・経験の豊富なベテランスタッフに何でも対応させていました。精神論で「がんばれ」「もっとできるだろう」とプレッシャーを与える一方、情報の共有などの仕組みがなかったため、ベテランスタッフが何をやっているかは事務所の誰もわからない、という状態に。そのベテランスタッフも多忙を極め、とうとう体を壊してしまいます。

ベテランスタッフの離脱により、業務の多くがストップしてしまい、事務所の信頼度は低下。結局そのベテランスタッフは退職し、それに合わせてお客様からの契約解除も相次いでしまいました。



CASE3:学習のためのシステムは入れたが活用されず

スタッフの税務知識のレベルを高めようと、学習できるようにWeb教材を契約。そしてスタッフに活用するよう呼びかけた。しかし残業もそこそこ多い職場であり、学習しようと思っても就業時間後になってしまい、税理士試験のための勉強を優先させたためWeb教材は活用されなかった。

所長は「せっかく入れたのになんで勉強しないんだ」と感情面でスタッフと対立してしまうこととなり、それがストレスとなってスタッフの離職が続き、事務所にはダメージだけが残る結果となってしまった。



これらの事例からわかるのは、精神論だけで押し通そうとするのは非常に難しい、ということです。

先に述べたように、仕事に対する姿勢や意識は大切で、それをスタッフに伝えることは必要です。しかしそれで業務の質を高めるためには、仕組みや投資が必要になってきます。


例えばCASE1では、お客様満足度を上げるために際限なく要望に応えようとしてしまったのが原因です。所長が強く「お客様の声に応えること」を伝えたため、スタッフは「どこまで応えるべきか」を判断できず、過大に要望に応え続けてしまった結果破綻してしまったのです。

事前に「どこからどこまで」といった設定を行わず、教育・指導が欠け、情報共有の仕組みづくりがなされていなかったため、大きな問題が発生してしまいました。


CASE2の問題点は属人化の解消についての仕組みがなかったことで起きました。一人に負担が集中し、情報共有がなく、ノウハウが事務所に蓄積されていなかったため、そのスタッフが体調を崩した場合などに一気に崩壊してしまいます。

また、その事務所はチェック体制も脆弱だったため、優秀なスタッフだからと任せきりになって所長も状況を把握できていなかったことも傷口を広げた要因の一つです。


CASE3は、これは精神論だけで推し進めたことによる弊害が大きく出てしまっています。

業務品質を上げるために教育に力を入れよう、これ自体は間違いではありません。しかし単に教材だけ与え、それで満足してしまい、活用する仕組みを作らなかったことが問題の原因です。

教材などを用意しても、それを利用する為の余裕がスタッフにはなく、学んだことを発揮する仕組みや、共有する制度などがないと価値は激減します。それを精神論で補おうと思っても無理なのです。


▶一言まとめ 失敗の原因は「頑張り不足」ではなく「仕組み不足」。



4.そもそも「質」とは何なのか


では具体的に業務の質を高めるためには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。

この具体的施策を見る前に、「質」とは何を指しているのか、を考えなければなりません。実はここが曖昧なままになっている事務所も少なくありません。


事務所によって、高めるべき業務の質、優先順位は違うのです。

これを曖昧なままにしてしまうと、どれもが中途半端になり、結局は「何も変わらない」ということになってしまったり、「業務の質を高めろ」と号令だけの精神論に偏ってしまう所長も少なくありません。


税理士事務所での「質」とは例えば、

  • ミスのない正確な申告書を作成すること

  • 問い合わせへの対応を早くすること

  • 経営相談に応えられる提案力を身につけること

  • お客様との関係性を深めること

  • 特定分野の専門性を高めること

などが挙げられます。


これらはすべて「質の向上」と言えます。

しかし、それぞれに必要な取り組みは異なります。


税務の正確性を高めたいのであればチェック体制の強化が必要でしょう。

提案力を高めたいのであれば教育や面談時間の確保が必要になります。

専門性を高めたいのであれば研修や資格取得への投資が欠かせません。

つまり、「何の質を高めたいのか」を明確にしなければ、具体的な行動にはつながらないのです。


▶一言まとめ “何の質を高めたいのか”を定義しなければ、行動は生まれない。



5.業務の質を高めるための具体的な施策


では、実際に業務の質を向上させるためにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。

事務所によって目指す品質は異なりますが、多くの税理士事務所に共通して有効ないくつかの施策があります。


①業務の標準化・マニュアル化

業務品質を安定させるためにまず取り組みたいのが、業務の標準化です。

担当者ごとに仕事の進め方が異なる状態では、どうしても品質にばらつきが生まれます。ベテラン職員が担当した場合は問題なく処理できても、新人や経験の浅い職員が担当するとミスが発生することもあるでしょう。また、担当者しか分からない業務が増えると、休暇や退職が発生した際に業務が滞る原因にもなります。

そこで重要になるのが、業務手順の見える化です。

月次監査や決算業務、申告書作成などの手順を整理し、チェックポイントを明確にすることで、誰が担当しても一定水準のサービスを提供できるようになります。標準化は品質向上だけでなく、教育効率の向上や属人化の解消にもつながる重要な施策です。


②教育への投資

業務品質は最終的に人によって生み出されます。どれだけ優れた仕組みを整備しても、職員の知識や能力が不足していれば高品質なサービスを提供することはできません。

税制改正への対応はもちろんのこと、近年では経営相談、資金繰り支援、DX支援など、顧問先から求められる内容も多様化しています。

そのため、継続的な教育への投資が欠かせません。

所内研修や勉強会を定期的に実施し、知識や経験を共有することで、組織全体のレベルアップを図ることができます。教育には時間もコストもかかりますが、長期的に見れば最も大きなリターンを生む投資の一つと言えるでしょう。


③ダブルチェック体制の構築

税務業務においてミスを完全になくすことは困難です。どれだけ経験豊富な職員であっても、人間である以上、見落としや思い込みは発生します。

だからこそ重要なのは、「ミスをしない人」を育てることではなく、「ミスが発生しても発見できる仕組み」を作ることです。申告書や決算書を複数人で確認する体制を整えたり、チェックリストを活用したりすることで、ミスの発生リスクを大幅に減らすことができます。

品質の高い事務所ほど、個人の能力に依存するのではなく、組織として品質を担保する仕組みを整えています。


④情報共有の仕組みづくり

業務品質を低下させる要因の一つが情報の属人化です。

顧問先とのやり取りや過去の経緯を担当者しか把握していない場合、担当者が不在になるだけで対応が難しくなります。また、職員ごとに蓄積されたノウハウが共有されなければ、組織としての成長も期待できません。顧客情報や対応履歴、業務上の注意点などを組織全体で共有できる環境を整えることで、対応品質の安定化につながります。

情報は個人のものではなく、組織の資産として管理することが重要です。


⑤IT・AIの活用

一見、効率化は一つひとつの業務にかける時間が少なくなるため、品質は低下すると思われがちです。しかし業務品質の向上と業務効率化は直結していることがほとんどです。効率化によって生み出された時間や気持ちの余裕を品質向上に活用することができるからです。

例えば、データ入力や資料作成などの定型業務をITやAIで効率化できれば、その分の時間を顧問先対応や分析業務に充てることができます。また、情報検索や文章作成、議事録作成などの業務を支援することで、業務の抜け漏れ防止にもつながります。

人が行うべき業務と、システムに任せるべき業務を整理することは、これからの税理士事務所において重要なテーマになるでしょう。


⑥面談品質の向上

税理士事務所のサービス品質は、申告書の正確性だけで決まるものではありません。

顧問先が感じる価値の多くは、実際のコミュニケーションの中で生まれます。毎月の数字を報告するだけの面談と、経営課題や将来の方向性について話し合う面談では、お客様の満足度は大きく異なります。数字の説明だけで終わるのではなく、経営者の悩みや課題に寄り添い、必要な提案ができるようになれば、事務所の存在価値はさらに高まります。

そのためには、面談スキルの向上や事前準備の徹底など、面談そのものの品質を高める取り組みも必要です。


▶一言まとめ 品質向上は、標準化・教育・チェック・共有・ITの積み重ねで作られる。



6.品質向上を実現した事務所の取り組み


業務品質の向上は、「もっと頑張ろう」という精神論だけで実現できるものではありません。標準化、教育、チェック体制、情報共有、IT活用など、品質を支える仕組みに時間とコストを投資することで初めて実現できるものです。

品質向上で成果を上げている事務所では、どのようなことをしているのでしょうか?

その具体的な例を見ていきましょう。



CASE1:即対応 × 高単価 × IT活用

この事務所が成功した理由は、提供したい“質”を即対応と定義し、その実現に必要な報酬・IT・情報共有へ迷いなく投資した点にあります。


この事務所の特徴は7名と小規模ですが、かなりの高単価サービスを提供していることです。お客様の法人は年商5億円以上がほとんどで、その経営者や資産10億円以上の個人に対する税務も合わせて行っています。


その事務所でサービスの質の向上のために取り組んだのが、『即対応』の体制作りです。

お客様からの問い合わせに対し、スピード感のある対応をうたう事務所は多いのですが、こうしたサービスはスタッフに負担がかかり、ストレスの原因ともなってしまい、離職につながることも多くなります。しかしこの事務所はそれがありませんでした。


その理由は賃金体系と即応体制を支える仕組みです。

普段ほとんど残業は発生していません。9:00~17:00の7時間勤務で、ほとんどのスタッフが定時に帰宅するといいます。ただ帰宅後にお客様から問い合わせが入った際は対応しなければいけないため、固定残業代として20時間を設定しています。問い合わせが多く、20時間を超える対応が発生した場合、帰宅後の作業であってもメールやチャットなどの時間を元に残業代が支払われます。

そのような対応をしなければならないため、給与水準も一般的な事務所に比べると高く設定されており、負担は大きいけど報酬も大きい、と納得しながらスタッフは働いています。


これを支える仕組みとして、即応体制の導入とともに料金体系の整備を行っており、お客様にはいくつもの選択肢を提示。質問などへの対応が早く、カバー領域の広いサービスは価格が高く設定されているため、スタッフへの報酬も高く設定できている、とのことです。


また注目したいのがITを積極的に活用していること。

帰宅後でもお客様からの質問に答えられるよう、クラウドの導入はもちろん、所内の書類などはすべて電子化されています。加えて所内にある参考資料・図書などもスキャナで取り込み、自宅でいつでも見ることができるようにしています。他にもWeb上で参考資料などを閲覧できる有料サービスにいくつも事務所で加入しており、スタッフはどこでも利用することができるのです。

また、情報共有の仕組みにも力を入れており、翌日には所長がすべてチェック。クオリティ管理を行っているとのことです。



CASE2:問い合わせ対応の担当者を設置

この事務所が成果を上げたのは、問い合わせ対応を“品質の源泉”と位置づけ、分業化とFAQ整備で再現性のある仕組みに落とし込んだからです。


この事務所の特徴は、クラウド会計を売りに個人事業主やその法人成り、スタートアップ法人の支援に注力していることです。集客に成功し、さらに弾みをつけるため、業務品質を高める仕組みとして、問い合わせ対応の強化に力を入れました。

そこでとった手法は『問い合わせ対応担当者』の設置です。スタートアップ段階の経営者は不安が大きいもの。不安をできるだけ早く解消してもらいたい、それがお客様からの評価につながる、と考え実行したものです。


顧客対応担当と所内で処理の担当者を分ける、いわゆる製販分離の体制を採っている事務所は増えています。ここの事務所はさらに、問い合わせの一次対応として窓口を一本化。『問い合わせ担当者』を設置し、問い合わせ内容に応じてそこから顧客対応担当や財務・資金繰り支援担当、書類作成担当、といった様々な部署に振り分けを行うのです。


これにより多くのスタッフは、自分の抱えている作業などが中断されることなく集中して業務に取り組むことができるようになりました。またスタートアップ段階のお客様からの質問はある程度パターンが決まっているため、それを所内でまとめ、FAQとして共有することで、さらにノウハウの蓄積にもつながったといいます。



CASE3:横断的な教育の実施

この事務所が成長できたのは、専門知識だけでなく“会話の質”を高める教育に投資し、顧客価値を底上げする土台を作ったことにあります。


この事務所は中部地方にあり、取り立てて特徴のある業務を行っているわけではありません。ただ、50年以上の歴史があり地域からの信頼が厚い15名規模の事務所です。

2代続けて徐々に事務所は発展してきましたが、3代目が事務所を継いだ時、事務所はピンチを迎えていました。それは事務所のある地域自体の経済状況が厳しかったのです。すぐに集客に力を入れましたが、成果は上がらず、このままでは将来が見通せないと考え、まずは基盤となる質の強化に力を入れることにしたのです。


週に1度のペースで税務や会計の勉強会を開催する一方で、マナー講師や心理学の教授、IT分野の専門家、成長しているベンチャー企業の経営者などを招いて講演を月1回のペースで行いました。

最初は「すぐに業務に役立つノウハウだけに集中すべき」という声もありましたがスタッフの知識の幅が広がったことからお客様との会話の内容が変化。徐々にお客様からの評価が高まり、以前は市内のお客様が中心でしたが近年では隣県の中核都市のお客様も増えました。


▶一言まとめ 成功している事務所は、例外なく“仕組みへの投資”を続けている。



まとめ:品質向上は投資の結果として実現する


業務品質の向上は「もっと頑張ろう」という精神論だけで実現できるものではありません。

上記の成功事例を見てわかるように、品質を支える仕組みに時間とコストを投資することで、はじめて成果として現れます。


そして忘れてはならないのが、「質の向上」は事務所ごとに意味が異なるということです。

申告業務の正確性を高めたい事務所もあれば、お客様対応のスピードを強みにしたい事務所もあります。経営支援力を高めたい事務所もあれば、特定業種への専門性を追求したい事務所もあるでしょう。

だからこそ重要なのは、まず自分たちの事務所にとっての「質」とは何なのかを明確にすることです。


何を高めたいのかが明確になれば、そのために必要な投資や仕組みも見えてきます。逆に、それが曖昧なままでは、どれだけ「質の向上」を掲げても具体的な行動にはつながりません。


また、採用活動においても同じことが言えます。

「質の向上を目指しています」という言葉だけでは、求職者には何も伝わりません。しかし、「お客様対応の質を高めるために教育へ投資している」「専門性を高めるために毎週勉強会を実施している」「品質を維持するためにチェック体制を整備している」と具体的に伝えられれば、その事務所の方向性や価値観が明確になります。

本当に質の向上を目指すのであれば、まずは『何の質を高めたいのか』を定義すること。そして、その実現のために時間・手間・コストを投資する覚悟を持つことです。


質の向上とはスローガンではありません。

具体的な行動と継続的な投資の積み重ねによって実現される、経営戦略そのものなのです。

もし今、

「質の向上を目指したいが、何から始めればよいかわからない」

「事務所の方向性を整理したい」

と感じているのであれば、一度立ち止まって事務所の現状を整理してみることをおすすめします。


私はこれまで数多くの税理士事務所の採用支援を行ってきましたが、事務所がうまく回り、採用がうまくいっている事務所ほど、自分たちがどのような事務所を目指しているのかが明確です。そして、その方向性に合わせて教育制度や業務フロー、評価制度、顧客サービスを整備しています。

逆に、「質の向上を目指す」と言いながら具体的な取り組みが見えない事務所は、徐々に勢いをなくし、求職者にも魅力が伝わらず、採用や定着に苦戦する傾向があります。


TaxOffice-Supportでは、税理士事務所の採用支援だけでなく、事務所の方向性整理や求人原稿の作成支援、組織づくりに関するご相談も承っています。今のままでも業務は回るかもしれません。しかし、質の向上は“時間をかけて積み上げる”ものです。 早く着手した事務所ほど、3年後に大きな差がつきます。

「自分たちの事務所は何の質を高めるべきなのか」

「そのためにどのような施策が必要なのか」

そんなテーマについて一緒に考えてみたいという方は、まずは無料相談からお気軽にお声をおかけください。




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